メジャーリーグか日本野球か…… 大谷翔平の選択臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)

» 2012年11月08日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

オオタニは5億円超の契約を手にするだろう

 厳密にいえば、メジャーリーグの新人契約金は青天井ではない。2009年に当時アマチュアナンバー1投手と称されたスティーブン・ストラスバーグが、契約金と年俸を合わせて1510万ドル(約12億円)という史上最高額の契約をナショナルズと交わし、契約金高騰を防ぐ議論が勃発した。

 その結果、2011年11月にMLB(メジャーリーグ機構)と選手会との間で新労使協定が締結され、球団の外国人選手への契約金の総額上限と罰則規定が設けられた。それと同時に2013年7月1日までにメジャーへ挑戦する国際FA選手の契約金上限額についても1球団総額で290万ドル(約2億3000万円)に線引きが行われたのだ。

 つまり大谷は規則上、この金額を超えた契約金を受け取れないということになるのだが、ド軍はこのルールの「抜け道」を利用するつもりのようだ。

 「この新労使協定の上限額は『契約金』だけを制約していて『年俸』や『契約年数』は規制していない。だから、契約金を低くして、その分を複数年契約の年俸に上乗せすることができる。本来ならばオオタニも規制の対象者で契約金の額面は290万ドル以下に設定されるが、年俸や出来高を厚くすればまったく問題はないはずだ。オオタニが入団を決意すれば、総額で600万ドル(約5億円)を超える契約を手にすることができるだろう」とド軍関係者は打ち明けた。

 日本プロ野球界では2007年10月に12球団が申し合わせ事項として新人選手の契約金の上限額を1億円プラス出来高払い5000万円とすることで合意。新人選手の年俸上限額についても一軍最低補償額の1500万円と定めている。

 ほんの少し前まで大物ルーキー入団の際にいわゆる「裏金」の支払いが横行していたのは暗黙の了解だったが、この2007年の制度改革以降は世間の目が厳しくなっていることから、たとえどんなにすごい実績を持つ新人でも1年目に手にできる上限額は1億6500万円に落ち着いている。

 それだけにもし大谷が夢をかなえるべく海を渡る決断を下し、ド軍と契約をまとめれば先の「裏技」によって日本プロ野球球界では有り得ない破格の契約を堂々と勝ち取るチャンスがあるというのだ。

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