エンジニアの間で流行中、「退職ブログ」に意味はあるのかサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)

» 2012年11月05日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]
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職務経歴書では、仕事ができるかどうか分からない

 FacebookやTwitterなどのソーシャルツールを利用していると、あることに気がつきます。それは「人が何に関心があるのか」という発見です。友人たちが投稿した事柄に、つい反応してしまうことで「あ、こういうことに自分は興味を持っているのか」と知るはずです。同時に、他の友人たちの関心事を見ることで「なるほど、こういう分野にアンテナを張っているわけね」ということにも気がつきます。

 そう、自分の視野が可視化されると同時に、他人の視野もある程度見えてしまう……そういう時代になりつつあるのです。裏を返せば、日々の行動の多くを公開してしまうことで、スキルの可視化は意外に容易にできる、ということなのです。「勉強会に参加した!」とFacebookのウォールへ投稿し、その内容を整理してブログにアップしておけば、その分野への興味関心があることを誰かに伝えられる。同時に、整理されたブログを読めば、その理解度とともにどの程度仕事ができるのかは想像がつく、という感じでしょうか。

 「職務経歴書を見ても、ホントに仕事ができるかどうかは分からない」と、採用担当者たちは口を揃えます。面接などで実際に会って話をしても、当然仕事ができるのかどうかは理解できない。試用期間を上手く使えば済む話なのですが、そういうドライな対応は日本の企業の多くが苦手としているところ。しかし、自分の手でさまざまなスキルを可視化している人なら企業もアセスメントが容易になります。新しいビジネス領域に乗り出すために人を確保しよう、と考える企業なら、その分野で実績のある人を探すのはもちろんのこと、興味関心がある層にまで視野を広げて人を探す時代が近づいています。つまり、日々どんなことに関心があるか、そして、それを学んでいるか、さらに、学んだことや経験したことを整理できるか、そしてそれを公開しているかどうかで、次のキャリアを考える幅が変わってくるようです。

 エンジニア領域は、働き方、キャリアの作り方、そしてスキルの可視化など、さまざまな点で、他の領域で仕事をしている人と異なっています。しかしそれでも、参考にすべき点はとても多い。時代の先端という感じだけではなく、ある種の合理性や目的性を持っています。長い間この領域で働いている人間の肌感覚として、おそらく時代がこちらに流れていくのだろうと思わせる要素にあふれています。そのタイミングが来た時に焦ることがないよう、今から日々のアウトプットを積極的、かつ継続的に行って、自分が持っているスキルの可視化を測っておくことを、これを読んでいる皆さんには強くお勧めしたいです。

 そう、キャリアアップとは「雇ってください」と、どこかの企業にお願いするのではなくて「ウチに来ませんか?」と、企業から誘われることなのですから。そして、誘われるコツは一つ。自分のことを見つけてもらう努力をすることです。ここにこんなことができる自分がいますよと、アピールするだけ。そのためのお膳立ては、すでにできていることに、この段階で気づいていないあなたは、意外と危険なのです。

この原稿を読んだ編集長から「辞めるといえば……」と送られて来たのが、かき氷専門店・埜庵のかき氷写真。人気が出すぎて10月末で店を閉めることになったと聞き、肌寒い日に季節外れのかき氷を食べおさめに行ったとか
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