根本的に間違っている就活と就職支援(2/2 ページ)

» 2012年11月02日 08時00分 公開
[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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 会社に関する情報は、社長や広報とリアルに会話を重ねているアナリストでさえ、その入手も判断も難しい。また会社は、いくらでも変化をし続ける。だから、就職に当たって会社を吟味しているつもりでも、実際にはかなりの情報不足で、それも相当に不確かな情報をもとに判断するのだから、結果は、いい加減な選択と同じようになるのは当然だ。情報にモレがあったり、得た情報を処理・判断する能力に欠けていたり、その情報が後で変わるようなことがあったりするなら、吟味しても正しい選択はできないのである。

 就職を支援しているキャリアセンターでも、学生に対して「企業研究や情報収集をしなさい」「活動量を増やしなさい」「就職サイトに登録し、どんどんエントリーしなさい」と指導しているし、選択肢をたくさん作って、情報をしっかり入手・検討することが、良い選択につながると思い込んでいるようだが、それは逆効果である。また、そうやってパワーをかけさせるから、後悔が大きくなってしまう。

 昔は、三択問題を出されて(理系では選択肢は1つだったりした)、その選択についてOBや教授がこれを選べと盛んに介入してきて、最後は“えいや!”で選んだ(選ばされた)が、ミスマッチは大した問題にならなかったし、仮に後で「間違ったか?」と感じても、「仕方ない」と割り切って頑張れた。

 就職サイトによって情報や選択肢が爆発的に増えたのは、学生にとって良いことのように見えたし、だから、大学の就職支援はそれに乗っかるように、たくさんの選択肢を見比べ、情報収集を行い、十分に吟味することを盛んに勧めている。しかし結果として、学生生活に支障を来たし、会社の選択においては迷い、間違い、後悔する学生が増えているのは皮肉な結果だ。

 情報過多の時代における就職支援は、どんな会社からも内定をもらえるような一部の学生を除けば、いかに選択肢を狭めてあげられるかにかかっている。内定が取れない学生に対しても、数を打てば当たるというような指導をするのではなく、選択肢を絞り込んで集中させる方が良いに決まっている。(川口雅裕)

 →川口雅裕氏のバックナンバー

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