コラム
» 2012年11月01日 08時02分 UPDATE

相場英雄の時事日想:橋下市長の騒動を見て、何を感じたか (1/3)

ここ数週間、新聞や週刊誌の失点が相次いでいる。メディアへの風当たりが強くなっている背景に取材される側の発信力が増していることが挙げられるが、こうした時代に記者やレポーターはどのように対応すればいいのだろうか。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『震える牛』(小学館)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 ここ数週間、新聞や週刊誌の失点が相次ぎ、メディアへの信頼感が著しく低下している。ウラ取りの稚拙さやメディア側の腰砕けなど、さまざまな要因が信認低下の根底にある。一方で、取材される側の発信力が増大し、一般読者や視聴者に直接訴えかける機会が多くなっていることもメディアへの風当たりを強くしている一因だ。記者やリポーターなど取材する側の力量が改めて試される重大局面にある。 

取材される側の“反撃”

 iPS細胞の臨床応用を巡る大手紙・通信社の誤報事件の余波が残る中(関連記事)、またまたメディアへの信認低下を招く事態が起こった。

 先週、橋下大阪市長の出自を巡る連載企画で、『週刊朝日』が完膚なきまでに打ちのめされた。報道に同市長が激怒。同誌が連載を1回で打ち切り、謝罪文を掲載するに至り、騒動は表面上終息した格好だが、メディア界に大きな禍根を残したのは間違いない。

 過去に何度も同様の報道に怒った橋下市長に対し、真っ正面からケンカを売った格好の『週刊朝日』。発売前に広告を読んだ瞬間、私は同誌と朝日新聞グループの胆力に感服した。刺激の強い煽(あお)り見出しだっただけに、連載の過程で勝気な同市長を屈服させるだけの“ネタ”が出てくると予想したからだ。

 橋下市長が怒りをあらわにしたあと、朝日新聞グループ内でどのようなやりとりがあったかは知る由もない。だが、かつてメディア界に身を置いた人間として想像できるのは、グループ首脳がビビり、『週刊朝日』がグループ内で「はしごを外された」ということだ。

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