続いては目に見えないサービスを有形化できないかという視点です。例えば、ホテルでは以前から清掃完了の証としてメッセージ付きの「清掃カード」を枕元に置いています。これは、お客さまの「清潔な部屋を利用したい」という共通的な事前期待に応えるための工夫です。目に見えない清掃サービスをカードという形にすることで安心してホテルを利用していただくことができます。
また、店頭に行列ができた時に並べる椅子。これは行列ができている際には、座って待てる気の利いたサービスであると同時に、行列ができていない時でも「行列ができるほど人気なサービスです」ということを椅子がPRしてくれます。サービスを有形化するという意味では、行列ができない時間帯にこの椅子をしまってしまうよりむしろ出しっ放しにしておいた方が、お客さまが「このお店人気がありそうだからちょっと入ってみよう」という気になるのではないでしょうか?
このように、サービスを形にして見せるという工夫の余地はまだまだたくさんあると思います。
これは、サービスを提供している様子を見せたり、実際に体験してもらうことで、サービスを受けたい気になっていただけるようにするものです。
例えばABCクッキングはあえて人通りの多いショッピングセンター内でガラス張りの教室の中で料理教室を開いています。楽しそうに料理を習う同年代の生徒さんの様子を周囲から見えるようにして、何となく始めの一歩を踏み出しにくい料理教室の敷居を低くすることで、若い女性の人気を集めています。
また例えば、保守メンテナンスサービスを提供する会社では、顧客先で作業をするスタッフのサービスレベルを高めて、その様子を見守るお客さまに「魅せる」ことで安心感や満足感を高めてもらうという取り組みもされています。
ほかにも、大学のオープンキャンパスや結婚式場のウェディングフェアなど、利用してみないと分からないサービスの一部を疑似体験することで、サービスの魅力を実感していただくということも効果的です。
実はこのようにサービスを垣間見ることができないことが原因で、お客さまを逃してしまっているケースは意外と多いようです。例えばレストランやカフェでは、初めて利用する時には店内の様子を覗いて、雰囲気や混み具合を確認したいものですが、お店側は店内のお客さまに配慮して、外から見えないような工夫がされていたりします。すると、せっかく良いクチコミを見てお客さまがお店の前まで来てくれても、店内が見えなくて不安になって引き返してしまうなんてことはよくありますよね。
特に新規のお客さまに利用していただきたい場合は、店内やサービスの「覗きやすさ」への工夫も見直してみると良いかもしれませんね。
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