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» 2012年10月29日 08時00分 UPDATE

サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」:「不要採用」とは何か――イマドキの就活は「厳選採用」でもないという話 (1/3)

イマドキの新人採用は「厳選採用」と言われます。数名の枠に数千名の希望者が殺到する人気企業も珍しくなく、結果、何社受けても連戦連敗という就活生が多数生まれているのが現状。しかしその一方で“楽勝”な採用も進化していることをご存じでしょうか。今ごろピークを迎える「不要応募」とは……?

[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


ay_sakata01.jpg (写真と本文は関係ありません)

 メニューは餃子と酒だけ、ごはんもない、という餃子専門店でランチを兼ねた打ち合わせをしていたある日のこと。編集長の吉岡綾乃さんは餃子の写真をいつになく丁寧に撮りながら、先週の記事に対してこう言いました。

 「やっぱり、美人ってコンテンツは最強ですね。先週の記事に載せたパンケーキの写真は、私のハードディスクの中にあるパンケーキ写真の中から自信作を選んで出したつもりだったのですが、『美人事』という言葉に負けてほとんど話題になりませんでした。私、食べ物写真を撮るのだけはものすごく早いんだけど、それが悪いのかなぁ。もっとたくさん撮った中から『この1枚!』を厳選したほうがいいのかな……」

 もはや原稿の内容すら振り返ってくれていませんし、後半に至ってはほとんど独り言という感じでしたが、バシバシ餃子を撮影する彼女を見ながら思い出したのが、「厳選採用」という言葉でした。

新卒採用は毎年、厳選採用だといわれている

 就活の仕組みは毎年複雑化しています。詳しくは2014年卒の就活が始まった時点で解説しますが、今までのようにリクナビを始めとしたナビサイトに登録し、ただ何も考えずに就活をしているだけでは、上手くいかない時代になっているのです。文字通り「厳選採用」といっても過言ではありません。就活生の間での企業ブランディングが上手くいっているところなどは、数名の枠に対して数千名が応募してくるわけですから、その難易度の高さが分かるはず。しかも、それらの企業の規模はというと、従業員数が1000人にも満たないところがほとんど。要は「就活生が目を向けるべきだ」とされている中小企業なのです。

 さらに、採用担当者は課題設定好きなので、毎年新しいアセスメントシステムを導入しようとやる気満々です。例えば「ボードゲーム採用がしたいと思っているんです」とか「トレジャーハンティング型の選考にトライしたいと考えています」とか「合宿形式のセミナーと選考を組み合わせたプランで」「自費で海外に出かけてもらって経験をしたことをベースに選考を」と、パッと読んだだけでは意図すら理解できない課題を用意して、就活生を待ち受けます。当然、負担がかかるのは就活生です。この1社だけ受けて採用されれば労力は最小限で済みますが、当然そんなことはない。複数社受ける必要があるのに、採用担当者が「やってみたい」という思いつきで、選考プロセスは複雑になっているのが現状なのです。

 とはいえ、選考プロセスを複雑にしたいという採用担当者の考えも理解できます。なぜなら、「履歴書、エントリーシート、グループディスカッション、面接……」という従来のようなアセスメント方法は、その多くが対策され尽くしており、採用したいというレベルにある就活生なら、十分に対応してしまっているのです。差がつけられないし、それだけ厳選して採ったつもりでも、ミスマッチが起きて早期離職してしまう。それを防ぐ方法として、さらに別の手法を……と試行錯誤しているのが思いつきの正体なのです。

 今まで使われてきたアセスメントの方法に対応するだけでも四苦八苦していた就活生にとってみれば、新しい評価プログラムが導入されることで就活の難易度がさらに上がります。対応できた就活生はいくつもの企業から内定を取る、それができない就活生はまったく内定が取れない。従来のように「就活エリートだから、なにもしないでも内定は取れる」という時代ではもはやなく、完全に二極化している状態なのです。

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