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» 2012年10月26日 11時00分 UPDATE

就職は3秒で決まる。:自己分析をする就活生に見込みはない (1/3)

自分とはいかなる人間なのか。自分に最適な仕事は何なのか。就活生が取り組む「自己分析」なる研究は本当に意味があるのだろうか。

[荒木亨二(荒木News Consulting),Business Media 誠]

連載「就職は3秒で決まる。」について

 この連載は誠ブログの人気エントリーから誕生した書籍『就職は3秒で決まる。』の一部を抜粋、編集したものです。就活の最大の問題点は「ビジネスマンが就活・仕事に関して、本音で語ってこなかったこと」。例えば、多くの面接官が採用する「3秒ルール」は、面接官が語りたがらない本音です。いわゆる面接対策本のような小手先のテクニックではなく、面接時の心構えや失敗のない仕事の選び方など、メンタル面を中心に斬新かつ大胆に提言しています。就活のプロではないからこそ書ける「リアルな本音」を綴ったのが『就職は3秒で決まる。』なのです。


筆者紹介:荒木亨二(あらき・こうじ)

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 1971年、千葉県生まれ。ビジネスコンサルタント&執筆業。荒木News Consulting代表。早稲田大学で心理学を学び、帝人株式会社に入社。半年で退職。その後PR会社で働きながら独自のマーケティング理論を確立、28歳でフリーランスとして独立。以降、マーケティングリポートの執筆、セールスプロモーションのプランニング、PRコンサル、新規事業の企画開発、農業ビジネス主宰など、業界をまたいで様々なビジネスを手掛ける。

 学生時代は就職氷河期第1世代として就活を体験。独自の就活スタイルを武器に、面接の突破率は9割以上を誇る。このとき、就活にまつわる「ヒジョーシキな常識」に疑問を持ち、以降、ビジネスコンサルタント業の傍ら就活に関する取材を行う。著書『名刺は99枚しか残さない』(メディアファクトリー)


 自分とはいかなる人間なのか。自分に最適な仕事は何なのか。その答えを見つけるため、就活生が取り組む「自己分析」なる研究。古くから就活の必須テーマとなっているが、結論から言うと、いくら自己分析に没頭しても“本当の自分”は見つからない。すなわち「すべきでない」。

自己分析をする就活生に見込みはない

 多くの就活生が頼りにする自己分析には、致命的な2つの欠陥がある。1つは、過去を分析して本当の自分を見つけ出すという「手法」そのもの。もう1つは、発見した自分に相応しい仕事をあてはめるという「使用法」。二重に間違っているので、正しい答えが導き出されるはずがない。

 就活生がやりがちな自己分析の事例を参考に、欠陥のカラクリを解説しよう。

「学生時代はずっとサッカーに打ち込んできた。だから、チームプレイが得意で、仲間を思いやる気持ちが強い。なおかつ、レギュラーにはなれなかったが諦めずにやってきたので、忍耐力と持続力なら誰にも負けない」

 自分を象徴する過去の出来事・体験を振り返り、その時々の感情、対応、長所・短所などを洗い出し、「だから自分はこういう人間だ」と結論づけるのが、一般的な自己分析。

 このように「過去から現在の自分を理解する」手法は、一見すると合理的で、整合性があるように思われる。「現在の自分」を構成するのは「過去の自分」なのだから。しかし、自分の過去を客観的に見つめられる人間などそうそういない。

 誰しも封印したい嫌な過去や忘れたい記憶があるはず。先ほどの例で言うなら、補欠として努力はしていたが、レギュラー選手を妬む気持ちがあったりと、当時の心境はもっと複雑だったかもしれない。

 人間は無意識に、嫌な記憶を封じる傾向がある。都合良く過去の記憶を“捏造”し、それをいつの間にか本当のことのように信じ込む。つまり、「自分で自分に嘘をつく」のだ。

自分の可能性を自ら否定しかねない

 過去をきちんと振り返ることができないのなら、自己分析によって導き出した答えは、「間違った自分」。過去から自分を分析するのは、手法としてはなはだ不適切である。さらに、誤った使用法がミスを決定的なものとする。「社交性が高いから営業向き」とか「論理的思考が得意なので企画向き」とか、性格や得意分野をもとに「最適の仕事」を考えさせる。

 言うまでもなく、基準が間違った自分なのだから、推奨される仕事は正しいはずがない。自己分析でミスにミスを重ねると、「ボクはこういう人間だから、こんな仕事や企業が向いている」と、自分の未来を身勝手に決めてしまいがち。本当は営業向きかも、IT企業向きかもと考える機会は奪われ、自分の可能性を自ら否定してしまうことに。

 本当の自分なんて誰にも分からない。自己分析で自分や仕事を判断することは、週刊誌の占いで人生を決めるようなもの。自己分析は決して「すべきでない」。

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