手づくりの「楽しさ」にこそマーケティングの原点がある郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2012年10月25日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 秋雨前線の到来とともにヤマイにかかった。コホンコホンじゃない。“手づくり”というビョーキである。

手づくりがイイ!の背景には……

うふふ

 今秋のビョーキは服飾系。某社のプレス発表会でいただいた布バッグを流用したバッグカバー、ジーンズのポケット加工、帽子にはスカーフをぐるっと巻いてみた。ゼロからではなく既製のモノに少し手を加える。それだけでユニークになる。私はそれほど手づくり上手ではない。でもなぜか好きである。

 うがった分析をすれば、デフレ時代、所得も減り豪快に遊べなくなった。チクチクやトントンなら安く遊べる。それもあるが、それだけじゃない。

「モノを買うのがエキサイティングじゃなくなった」

 機能追求商品に心が響かない。アイデア商品にもハハン……で、デザイン商品にプレミアムを払う人も減った。実体を買わず仮想を買う時代だ(CDも本も売れない)。街行く女性の肩にルイ・ヴィトンもずいぶん減ったなあ。

 「モノ消費よりコト消費へ」――モノに払わず体験に払う。3.11震災後の「絆消費」もまだ続く。Facebook発の「いいね!消費」も増加中。大量生産・大量消費社会への抵抗もある。

 「手づくりは閉塞する市場の救世主になる」とも思うのだが、そんなパワーはあるのだろうか? そんなことを考えつつ、手づくりを探して街に出た。「仕上がりがね……」「オレ不器用だから」という人も「意外にできるじゃん」があった。

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