売れすぎて休業した100円ショップに見る「売れるヒント」カイモノマーケティング(2/3 ページ)

» 2012年10月25日 08時00分 公開
[澤地正人,Business Media 誠]

「来店」のハードルを下げる「安さ」の演出

 節約志向を持ったショッパーに対してはまず、来店を促す必要があります。その解決策が安さの演出です。単純にモノを安く売るだけでは消耗戦となり、商売が成り立ちません。仕掛けや演出によって「高くない店」というイメージを作り、来店のハードルを下げることが重要です。

 人は、よく買うモノの値段は覚えています。もしそれが安ければ、店全体の印象も「高くない」につながります。心理学で言う「ハロー効果※」のように、1つの印象が全体的な印象にまで影響を与えるわけです。

※ハロー効果:対象における顕著な特徴に引きずられ、全体への評価がゆがめられる現象。ハロー(Halo)とは後光のこと。
カイモノ ウェグマン(Wegmans)は近隣ショップとの価格比較で安さをアピールする

 例えば、米国の食品スーパー「ウェグマン(Wegmans)」における相対的な「安さ」の演出。このスーパーは、近隣店との価格比較を掲示して、高くないイメージづくりを行っています。

 マーガリン、ヨーグルト、卵など、掲示している品目はすべて日常的に買う食品で、他店より安いモノばかり。このように相対的な比較対象を提示することで、店舗全体に「高くない」というイメージを持たせているわけですね。

 ちなみにこのウェグマン、2012年米フォーチュン誌の働きたい企業ランキングで、Googleやボストンコンサルティンググループなどに次いで第4位になっています。ショッパーの納得感がとても高く、顧客満足度につながっているのかもしれません。

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