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» 2012年10月24日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:ヒット商品の方針転換は成功するか? グリコ乳業「ドロリッチ」の挑戦 (1/2)

ヒット商品を作るには。そして、ヒット商品をロングセラー化するには。グリコ乳業は“デザート飲料”というカテゴリを創出したヒット商品「ドロリッチ」で、商品開発の一大テーマであるその解を「環境変化への対応」と導き出した。

[金森努,GLOBIS.JP]
GLOBIS.JP

それゆけ! カナモリさんとは?

 グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2012年10月19日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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「飲料の世界には明らかなトレンドが見て取れました。その消費者ニーズの根幹にある要素を的確に捉えられれば、新たなカテゴリを創造できるかもしれないと考えたのです」と、グリコ乳業のマーケティング担当者は述懐する。

 カフェゼリーとクリームがほどよく混ざった食感が特徴の「ドロリッチ」は主にCVS(コンビニエンスストア)のチルド製品棚で販売されている。「ドロリッチは果たして飲料なのか、デザートなのか」と、大ヒット・ブームの中、ファンが論議することも多かったが、答えは「デザート飲料」という両者の中間的存在である。

 デザート飲料というカテゴリが、もともと市場に存在していたわけではない。そして、これこそがドロリッチが作り出したカテゴリなのだ。

 開発に際して、グリコ乳業の開発チームはまず、欧米で「スムージー」が大人気となっていることに注目した。同様なトレンドが日本でも見て取れないか。チームメンバーは駅などのジューススタンドやカフェの店頭で来店客の購買行動を徹底して観察したという。

 その結果、ジューススタンドでは利用者のビジネスマンやOLの40〜50%が、「とろり」としたミックス系ジュースを選択し、朝食代わりのライトミールとしていることを発見した。また、カフェではスターバックスの「フラペチーノ」に代表されるような、コーヒーや果汁などのデザート的飲料が大人気でメニューも充実してきており、商品の構成比は6〜7割にのぼり、来店客の注文比率が高いことも確認したという。

 これらの消費性向から開発チームは、3つのキーワードをあぶり出した。「スピーディー」「ながら飲み」「腹持ちの良さ」だ。

 「スピーディー」「ながら飲み」「腹持ちの良さ」というキーワードに「ほっと一息できる」というベネフィットを加えた訴求ポイントが整理されたが、そこから単純な飲料ではなく、デザートの特徴を取り込んだ独自の商品として展開する可能性を追求することとなった。

 実は、商品開発のチームは市場自体が飽和している「飲料」ではなく、成長余地のある「デザート」のチームが主管しているのである。ゆえに、ブランドネームも単純な「コーヒーゼリー“飲料”」などではなく、新カテゴリを表すような従来にないインパクトのあるアンブレラネームを必要とした。

 差別化ポイントは「固体と液体がほどよく混ざったとろり濃厚食感」であると整理され、そこから「ドロリッチ」というネーミングが検討された。「ドロ」という食品らしくないネガティブな語感が含まれるネーミングは、社内からの猛反対を受けた。しかし、他社の類似商品との明確な差別化のために開発チームは社内の幹部までを丹念に説得し、ネーミングを押し通したのである。

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