“鉄人”金本が阪神に残した、一塁への全力疾走臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(1/5 ページ)

» 2012年10月24日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

著者プロフィール:臼北信行

日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。


金本知憲 金本知憲公式サイト

 鉄人が21年のプロ生活にピリオドを打ち、静かにバットを置いた。2012年10月9日の阪神タイガース対横浜DeNAベイスターズ戦終了後に行われた引退セレモニーでスポットライトを浴びた金本知憲はマイクの前に立つと、こう言った。

「甲子園で日本一になりたかった。心残りは後輩たちに託すことにします。本当に夢をありがとうございます」

 この日、甲子園に集まったファンは4万7105人。スタンドにいた猛虎党の誰もが最後の勇姿に大きな感動を覚え、中には人目もはばからずにボロボロと涙を流すファンもいた。

 金本は間違いなくタイガースの救世主であり、スーパースターだった。2002年オフに当時の星野監督(現東北楽天ゴールデンイーグルス)に口説かれ、広島東洋カープから阪神へFA移籍。翌年のシーズンでいきなりリーグ優勝に貢献して以来、ファンから「アニキ」の愛称を命名されて慕われ続けた。2010年4月には1492試合連続フルイニング出場の世界記録をマーク。ギネスからも認定された。彼が「鉄人」とも呼ばれる由来は、ここにある。

 しかし金本が多くのタイガースファンを魅了したのは、こうした記録的なことだけではない。厳しさを常に追求するプレースタイルと、誰よりも熱い闘争心の持ち主であったからだ。

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