面接官は「3秒ルール」を持っている就職は3秒で決まる。(2/3 ページ)

» 2012年10月19日 18時50分 公開
[荒木亨二(荒木News Consulting),Business Media 誠]

合理的かつ効率的な3秒ルール

 「3秒で決めても、15分面接をしても、実は結果は一緒なのですよ」。とある人事部の幹部がこっそり漏らしたこの言葉に、面接のすべてが凝縮している。新卒採用に長年携わる熟練の面接官ともなると、就活生を見抜く「3秒の精度」が格段に上がる。

 これにより、最初の3秒の判断は、その後、15分面接をしても30分かけても、ほとんど変わることがないという。まるで職人のように正確な仕事ぶり。しかし、職人と言ってもそこは企業、勘のみを頼りにしているわけではない。面接官の仕事ぶりはきっちり、後から検証される。採用した就活生のその後、つまり「入社後の働きぶり」を観察すれば一目瞭然となる。

 例えば、コツコツ仕事をこなすタイプと3秒で判断した就活生が、その期待通り、弱音を吐かず残業も厭わず、真面目に働く人間だったとしよう。それなら、面接官の「3秒ルール」は正しかった証拠となる。

 もちろん3秒ルールは間違っていることもあるが、そのときは、社員教育という方法で対処すればよい。3秒ルールにミスがあるにしても、その程度の小さなミスがほとんど。いずれにせよ、3秒ルールのフィードバックを積み重ねることにより、面接官の3秒の精度は磨きがかかる。

 「結果として、思った通りの人材を採用できています」。人事部の幹部は、満足気に言葉を付け加える。学歴によって就活生を絞った後は、工場の流れ作業のように、3秒でテキパキとふるいにかけていく。企業にとって面接は業務の一環、営業やその他の業務と同じく、スピードは重要。

 3秒ルールが正しいなら、これほど合理的で効率的な面接手法はない。多くの企業、多くの面接官が3秒ルールを重視する理由が、ここにある。ちなみに3秒ルールは、ほぼすべての企業が使う。大企業でもベンチャー企業でも、商社でもメーカーでも、企業規模や業界を問わず、面接官ならば「自分なりの3秒」を持っている。

 3秒は短過ぎるだろうか。理不尽だろうか。これが就活のルールである以上、就活生はそれに従わなければならない。それでも、不安は拭いきれないはず。「面接は3秒で決める!」と豪語する面接官たちは果たして、みながみな、本当に正しい判断ができているのだろうか。

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