コラム
» 2012年10月15日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:既得権益層を説得し、日本を変革する政治家は現れるか (1/2)

赤字国債の発行法案や国会議員定数是正が実現する見通しがないなど、「決められない政治」から脱却できない日本。復興予算で一息ついていた経済も息切れしかかっている。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 東京で開かれたIMF・世界銀行総会。中国は財務相も中央銀行総裁もそろって欠席した。11月8日に始まる中国共産党大会で胡錦濤主席の後継者が決まるという微妙な時期とはいえ、ところ構わず日本に「嫌がらせ」をするのは何とも大人げないという感じがする。IMFのラガルド専務理事にも「世界第2位と第3位の経済大国が対立するのは世界経済にとってマイナスだ」と釘を刺された。

 そんな中で日本の代表は、城島財務相。前国会対策委員長、重要ポストではあっても、財務大臣にふさわしい人材かどうかというと首をひねってしまう。日本の銀行には国債リスクがあると指摘されるぐらい危なっかしい状態だというのに、わずか1年で財務大臣を交代させるというのは、外国諸国に対してどういうメッセージになるのだろうか。「日本政府は債務問題に本気で取り組む姿勢がほとんどない」と受け止められても文句は言えまい。先進国が財務大臣にはプロをすえる傾向が強まっているというのに、アマチュアの財務大臣がそれも1年でくるくると交代すれば、「まともに話し合えない相手」とレッテルを貼られる。

 救いは消費税増税が決まっていることだろうが、目先は相変わらず「決められない政治」からまったく進歩していない。何と言っても今年の年末には国庫が空になってしまうというのに、その法律を通すための臨時国会さえまだ予定が立っていない。もっとも国会を開いたところで、このままでは赤字国債の発行法案や国会議員定数是正が実現する見通しもない。

 自民党や公明党は、赤字国債の発行を人質に解散を迫る方針だし、民主党もできれば任期満了まで引っ張りたいというのが基本戦略だ。民主党の輿石幹事長は、憲法違反の状態は当然、国会議員が自らの身を切らずに(定数削減)選挙するのは国民に申しわけが立たないという主旨の発言をする。違憲状態を解消する0増5減だけではなく、定数削減ということになればこれはそう簡単にまとまる話ではない。それを見越して、選挙を遅らせようとする姑息な主張のようにしか見えない。まるで自民党から民主党へ「歴史的政権交代」をする前の麻生内閣のようだ。

 麻生内閣は「さっさと解散せよ」と民主党から迫られながら、ずるずると任期満了まで引っ張った挙げ句、歴史的大敗を喫した。はっきり言ってしまえば、有権者はうんざりしている。民主党ではダメだということは火を見るよりも明らかだが、かといって自民党に戻すというのもいかがなものか、ということだ。しかも自民党は、一度、病気で政権を投げ出した安倍元首相を再び総裁に選んだ。健康リスクのあるリーダーを選ぶなどということはあってはならない。それが普通だと思う。

 健康リスクがあれば、いざという時に判断を誤るリスクも高くなる。健康状態が悪くなったときに、後継者をめぐって権力闘争が起きる可能性もある。そうなったら場合によっては国の指導部に空白が生まれるということだ。それが社会的な混乱をもたらすこともありうるだろう。それでも日本は官僚組織がしっかりしているから大丈夫だと言う人もいるが、そうでもないかもしれない。

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