コラム
» 2012年10月10日 08時00分 UPDATE

文系か理系か、キャリア設計から見た大学選び (1/2)

文高理低と思われてきた「文理」格差ですが、『就職率60%時代を勝ち抜く大学2013』によれば、文系と理系では就活そのものの条件に加え、給与面でも逆転が起きているといいます。

[増沢隆太,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた)

RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。


 日本の大学選択時の「文・理」区別ですが、メリット/デメリットいずれもあり、単純に良し悪しは決められないと思います。しかし一方でその進路選択の違いが、生涯のキャリア決定においても大きく影響することは間違いなく、大学受験における文・理の選択はいわば人生を決定付ける選択にもなり得るわけです。

 私が監修で参加させていただきました学研ムック『就職率60%時代を勝ち抜く大学2013』で、「文系と理系の平均年収は、理系のそれが文系を40万円ほど上回る」と書かれています。かつて「理系の生涯年収は文系以下」と呼ばれていた時代と少し変わってきているようです。

 また就活においても、文系学生の場合、ほとんど全員が学部4年で卒業と同時に就職をし、また日本の産業構造からみても、営業職やサービス業、小売業といった、労働集約的業務に就く者が圧倒的に多く、結果としてエントリー数の過熱化など、昨今の就活問題の中心となっています。100社を超えるエントリーも珍しくない文系に比べ、理系の場合は東大など国立トップ校は大学院進学率が9割となり、「修士で就職」がスタンダードになっています。自ずと選択する企業も、その職務も「何でもあり」とはならず、研究との共通項が多い職を選ぶ傾向は理系ならではと言えるでしょう。

 年収など属人的変数の大きく影響するデータに私自身は興味がありませんが、それでも理系の進路には文系にない特徴があります。

 その最大のものは「理系はオールマイティな進路選択が可能」ということです。文系学部生の場合、どんなに努力しても製造業の研究職に就くことは不可能です。努力の問題ではなく、そうした採用は一定規模以上の企業では行われていないからです。逆に理系学生は学部卒でも修士修了でも、営業職にも事務職にも就くことは可能です。これは「可能」であって、誰でも就けるという意味では当然ありませんし、また経理の一般事務に理系大学院修了者が雇われる可能性は実際はないでしょう。ただ理論上はあり得ることです。

 私が指導している大学院博士課程では、毎年数は少ないですが営業職に就く学生がいます。

 私はとても素晴らしいキャリア選択の1つ、特に博士が営業をすることはとてつもない差別化になると思っています。営業を“ソルジャー”なんぞと呼ぶ程度の認識しかない人には無理なことですが、専門知識を持ち、さらには論理的思考能力を鍛えた博士ならではの進路として、相手が医師であれ専門家であれ、対等な目線で提案や意見具申が出来るビジネスパートナーとなれる営業職であれば、企業で機能しないわけがないと思うからです。

 ちなみに「理系は指導教員の推薦で就職が決まる」などともかつては言われていましたが、今は自由応募でのエントリーが推薦を上回るのが実情です。推薦は有力な就職戦略の選択肢ですが、逆に拘束もかかるわけで、それだけで決まった時代ではなくなっているのです。

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