「カネのためなら何でもやる」――中国人がアフリカで嫌われている伊吹太歩の世界の歩き方(1/4 ページ)

» 2012年10月04日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

著者プロフィール:伊吹太歩

世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材し、夕刊紙を中心に週刊誌や月刊誌などで活躍するライター。


 尖閣諸島の国有化にからんで、日中関係についてさまざまな議論が起こった。海外の有力メディアでも、例えば米ニューヨークタイムズの元東京支局長だったニコラス・クリストフが、尖閣諸島の所有権は「中国の主張を支持する」として、台湾・国立政治大学の研究員である邵漢儀の記事を紹介している。この研究員は2012年5月にも米ウォールストリートジャーナルに同様の主張を「投稿」していた。

 残念なのは、日本の学者による反論があまり海外で紹介されないこと。クリストフにしても、ニューヨークタイムズが掲載した記事の序文で、日本の学者に根拠ある反論をしてほしいと呼びかけている。日本の学者もウォールストリートジャーナルに投稿するなり、クリストフに反論を示すなりするべきだろう。

「中国人はカネのためなら何でもやるからな」

 そもそも中国が尖閣諸島にこだわる理由が、その近海にある天然資源であることはもはや説明するまでもない。とにかくエネルギーを求める中国は世界中で資源確保に手を広げている。ただその必死さと、なりふり構わずの姿勢が顰蹙(ひんしゅく)を買うことは少なくない。

 経済成長の著しい中国はカネの詰まったカバンを手に、天然資源の確保や内需市場を狙って世界に進出してきた。最近、軍事政権から民政に移管し、経済開放政策で「最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーにも、軍政時代の「鎖国状態」の中で中国が経済的に深く入り込んでいた。ただし中国のやり方には、多くのミャンマー人が辟易(へきえき)している。知人のミャンマー人は「中国人はカネのためなら何でもやるからな」と嫌悪感を隠さない。

 最近、ニュースを見ていると、あちこちで「シノフォビア(Sinophobia)」という英語の言葉をよく目にするようになった。シノフォビアとは簡単に言えば「Sino=中国」「Phobia=嫌悪」で「中国嫌悪」という意味で使われている。そもそもは世界に進出する中国人や中国文化に対する嫌悪感を表現する言葉だ。前出のミャンマー人も中国に対してシノフォビアを感じている。

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