最近の「二世帯住宅」って、どんな暮らし?これからのことがよく分かるコラム(4/5 ページ)

» 2012年10月03日 15時30分 公開
[池本洋一,Business Media 誠]

親が5000万円以上資産を持っていたら二世帯は有利

 冒頭で紹介した6つの項目の中で、「親の資産が5000万円以上の人」という条件をあげました。これは相続税との絡みです。現在、相続税を払っている人は全人口のわずか4%ですが、来年度の税制改正で6%程度、都心部では20%にもなるのではと言われています。これは来年度の税制改正で予定されている相続税の改正により、控除額が概ね3分の2に減額されるからです。

 例えば2人の息子がいる父が亡くなった場合、今までは8000万円の控除がありましたが、これが4800万に減ります。もし8000万円の相続資産(現金、不動産、証券、保険など)を保有していた場合、今までは相続税がかからなかったのに、これからは生計が同一つまり、同居の場合で330万円、別居だと555万円も納税しなければいけません。

 なぜ同居または別居で支払額が違うのはなぜでしょうか? これには「小規模宅地等の特例」見直しが関係しています。この税制改正はすでに実施済みなのですが、今までは240平方メートルまでの規模の宅地分については、誰かが同居していればその土地の課税額のうち80%が相続人全員分減額されていました。しかし、2010年度からは同居している人しかその恩恵を受けられなくなっています。つまり相続を受ける人が一緒に住んでいないと特例は使えない形になったのです。

 この背景には「親の介護はなるべく自宅で」という国の要請が見え隠れします。現在、特別養護老人ホームの数が希望者に対して圧倒的に足りていません。その数40万人で、待機児童数の約10倍にあたります。

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