最近の「二世帯住宅」って、どんな暮らし?これからのことがよく分かるコラム(1/5 ページ)

» 2012年10月03日 15時30分 公開
[池本洋一,Business Media 誠]

著者プロフィール:

池本洋一(いけもと・よういち)

1972年、滋賀県生まれ。1995年リクルート入社。以来15年以上、一貫して住宅領域に携わる。『住宅情報都心に住む』『住宅情報タウンズ』『SUUMOマガジン』編集長を経て、現在は月間850万UUを誇る日本最大級の住宅情報サイト『SUUMO』編集長を務める。賃貸・分譲・注文・中古など住まいに関する消費者動向全般に精通、専門紙へのコラム執筆のほか年間の講演回数は60回に上る。『賃貸×カスタマイズ|SUUMO(スーモ)』などの運営にも携わっている。2012年10月1日より、株式会社リクルート住まいカンパニー在籍(株式会社リクルートから会社分割し新設された会社)。


 Business Media 誠の読者の中には、住み替えを検討されている方もいらっしゃるかと思います。一般的には子どもが生まれて、そろそろ家を買おうかとなると、自分たち家族つまり単世帯で考える人が多いと思います。しかしデフレ経済で給与が伸びない中、「二世帯同居」を検討してもいいのではないかと考える人たちがいます。以下の項目にいくつか該当する人は、ぜひ一読してみください。

(1)共働きである(予定がある)

(2)決して収入にゆとりがあるわけではない

(3)住宅だけでなく、余暇や趣味にもお金を使いたい

(4)親のどちらかが通勤圏内に住んでいる

(5)親の老後が少し気になる

(6)親の資産が5000万円以上ありそう

 今、二世帯住宅を選ぶ人が増えています。住宅情報サイト『SUUMO』が2011年に二世帯同居を選択した約100人に行ったアンケートによると、同居をしたことで住居費や生活費が削減できたという子世帯が半数以上おり、その削減額は最大で月間約14万5000円にも上ることが分かりました。

 最も削減額が大きい項目は住居費の6万2000円。首都圏のマンションや一戸建て購入価格の平均は約4000万円。それに対して二世帯住宅の建築コストは3500万〜4000万円です。子世帯:親世帯=3:1で住宅ローンを負担するという標準パターンで計算すると、子世帯の負担額は2600万円〜3000万円程度になります。その差分が住居費の削減になります。

 もう少し丁寧に計算すると、仮に4000万円をすべてローンで購入、金利2%で30年返済で借りたとすると総返済額は約5326万円。毎月の負担額は約14万7000円。これが2600万円のローンとなれば、総返済額は3462万円、毎月の負担は9万6000円。総支払額で1860万、毎月返済額で約5万円の差が出ます。

 また上記以外に光熱費や食費が安くなるケースが非常に多いのです。旭化成二世帯住宅研究所の調査によると、同居により年間で6万〜13万円の光熱費が圧縮できています。弊社の調査だと光熱費約1万6000円、食費で約2万円の節約できているとあります。削減額が大きいような気もしますが、実は住宅ローンを子世帯が負担しているケースが多く、その分親世帯が光熱費や食費の多くを負担してくれている。その際に、レジャー費、駐車場代なども同様に親側が負担してくれることが多いようですね。

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