映画『TIGER & BUNNY』プロデューサーが語る、仕事を成功に導く方法窪田順生の時事日想(3/3 ページ)

» 2012年10月02日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]
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プロジェクトを成功に導くために

――そのような大きなプロジェクトを成功に導くためには何が必要だと思いますか?

尾崎:明快なビジョンや哲学を持って、お客さんの顔をしっかり見て、時代の風に乗る。もちろんこれらを満たしていても失敗する事業はあります。でも、それらの条件を満たしていないと大事業の成功は難しいでしょう。ですから、まずは人事を尽くせる部分についてはできる限りの課題をクリアすること。そして後は天命を待ちつつ運を味方につけることでしょうか。

 僕の好きな言葉の1つに「努力は運を支配する」というものがあります。これは住友銀行(現・三井住友銀行)の重職を担いながら、ラグビー日本代表監督も務められたこともある宿澤広朗さん(1950〜2006年)の座右の銘です。ラグビーのボールってあんな形だから、どこに跳ねるか分からないじゃないですか。でも、汗をかきまくって努力をしていれば、いざというとき思うところにバウンドしてくれるというのです。

 やれることをやってきた人間って、ここぞというときに迷いなく突っ込める。それが良い結果につながるのかもしれませんね。根拠のない精神論と思う人もいるかもしれませんが、僕はこういうことってあると思っています。

――「プロデューサー」という仕事に限らず、ビジネスパーソンとして心がけるべきことはありますか?

尾崎:業界や業種、個々人の役割によって違いますし、働き方も多様性に富んでいますから一概には言えませんが、新規分野あるいは成長分野でリーダーシップを発揮しようと思うのであれば、人がやっていないことを臆せずにやる開拓精神というのは必要だと思います。あとは、自分自身の仕事や業務に対する覚悟。

 実は20代の頃、まだエンタメ業界に入る前ですが、ほんのわずかですが宿澤さんと接する機会がありました。ご存じの方も多いかもしれませんが、宿澤さんは日本郵政の初代社長・西川善文さん(元・三井住友銀行頭取)に、自分の後継者にしたかった、とまで言わしめたバリバリのインベストメントバンカーで、ラグビーだけでなくビジネス面でも多くの功績を残されてます。まさしく組織を率いるトップリーダーとしての覚悟やオーラのようなものが滲み出てましたね。

 それ以外にも、有名無名問わず、たくさんの尊敬できる方や憧れられる方々の仕事ぶりを20〜30代の間に見られたことは貴重な経験だったと思います。多くの先達の足元にも及びませんが、仕事する時は、そういう方々と比して自分はどこまでできているかというのは自問自答しますね。

 →「アニメは見ない」という人までファンに変えた、『TIGER & BUNNY』の仕掛け【前編】

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


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