敵は競合他社だけじゃない! つい見逃してしまう競合とは?(2/3 ページ)

» 2012年10月02日 08時00分 公開
[荻野永策,Business Media 誠]
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なぜ「顧客が今使っている商品」を競合として忘れてしまうのか?

 商売とは、買い手と売り手で成立しますが、買い手である顧客は、自分が今使っている商品と比較して「どうなのか?」を自分中心に考えますし、売り手であるあなたは「自社商品は他社製品と比べてどうなのか?」を自分中心に考えます。この「競合」を考える基準が異なるため、ついつい忘れがちになってしまいます。

 例えば、あなたはこのようなサイトを見たことがありませんか? 企業のWEBサイトでは、よく「選ばれる○個の理由」や「他社との違い」というページがあります。ここに、同業者A社、B社との比較というような比較一覧表が掲載されています。

 この比較一覧表、競合を名指しするわけにもいかないので、A社、B社と記載されていますが、顧客から見れば、「この商品の特徴は何か?」が一目でわかるという点においては重要なコンテンツです。しかし、そこには「今使っている商品との比較」という項目はありません。

 では、なぜこのようなことになっているのでしょうか? その理由はとても簡単です。売り手(あなた)は「顧客が今どんな商品を使っているのか?」を知る術がないからです。特にWEBサイトでは不特定多数の人間が見るため、このような目線にならざるを得ないといえます。

 だからこそ、ついつい忘れがちになってしまいます。しかし、顧客にそういうことは関係ありません。顧客は「今使っている商品と比較してどうか?」を次の商品の選定基準にしていますし、当然、他社製品(あなた目線の競合の商品)も同じ目線で比較しています。

 顧客は今使っている商品を、次、購入する商品の「選定基準」として扱います。今使っている商品「以上」の商品を手に入れたいのです。そう考えれば、顧客が購入先企業として選択肢に入れている企業は、少なくとも選定基準を満たしているということになります。

 つまり、あなたの商品の差別化戦略としては、「今使っている商品以上の価値があり」、さらに、「同じく今使っている商品以上の価値がある他の競合商品」に比べて、「何が強いのか?」が重要ということです。「競合と比較してどうなのか?」だけでは差別化戦略としては弱いということがお分かりいただけたと思います。加えて、今使っている商品を知るということがいかに重要なのかもお分かりいただけたかと思います。

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