天職は思いこむことから始まる――ロンドンで活躍する女性日本酒ソムリエの素顔世界一周サムライバックパッカープロジェクト(1/3 ページ)

» 2012年10月02日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

太田英基(おおた・ひでき)

世界一周中のバックパッカー。2年間で50カ国以上を訪問し、6月末に帰国。若者の外向き志向の底上げのため、海外で働く日本人を訪問したり、旅の中で気付いたことや発見したことをWeb中心に情報発信しながら旅を行った(サムライバックパッカープロジェクト)。学生時代に広告サービス「タダコピ」を立ち上げた元起業家でもあり、根っからの企画屋。Twitterアカウント「@mohideki」では旅の様子をリアルタイムに発信した。

 →目指せ世界一周!「サムライバックパッカープロジェクト」とは?


 サケソムリエという職業を、あなたはご存じですか? ワインにもソムリエがいるように、日本酒(サケ)にもソムリエがいるのです。

 日本酒は海外ではSAKE(サケ)と呼ばれることが多いです。日本に旅行で来たことがある外国人は必ずと言っていいほど飲んでいるアルコール飲料かと思います。

 世界的な寿司ブームが起爆剤となり、日本食ブームが広がっています。スペインでうどんチェーン店が流行っているほか、イギリスでも寿司屋が多くあります。日本食とともに日本酒も広まりつつある流れに来ているのではないかと思いますが、まさにその最前線に立ってロンドンで日本酒を広める菊谷なつきさんにお会いしました。

 菊谷さんは以前、リンクアンドモチベーションという組織・人事コンサルティングの企業で仕事をしていました。そこからサケソムリエへ華麗なる転身を果たしたわけですが、その経緯も含めて菊谷さんにお話をうかがいました。

日本酒ソムリエの菊谷なつきさん

人事コンサルから日本酒ソムリエに

――自己紹介と、これまでの歩みについて教えてください。

菊谷 16歳の時にタイのパヤオという村での植林ボランティアキャンプに参加してから、さまざまな形で“境界線歩き”を続けています。米国の大学でドキュメンタリー映画を撮ったり、スコットランドの自給自足コミューンで生活したり、ボストンとニューヨーク間を1カ月かけて徒歩で渡ったり、メキシコでマヤ文明をたどったりして、計20カ国を渡り歩いてきました。

 大学卒業後、東京のリンクアンドモチベーションという人事コンサルティング会社で2年半勤務した後、4年前に、持ち前の食いしん坊&酒飲み精神と、1656年から続く母方の実家の日本酒の造り酒屋の血に目覚め、日本酒の世界に飛び込みました。

 東京のはせがわ酒店で短期修行をした後、英国ロンドンのモダン・ジャパニーズレストラン「ZUMA」で日本酒のきき酒師、サケソムリエとして働き始め、2011年6月から姉妹店「ROKA」でヘッドサケソムリエを務めています。

 個人では日本酒ソムリエとして「natsukipim.com」というブログを通して日英2言語で日本酒文化の紹介をしたり、ロンドンをベースにしたさまざまな日本酒イベントのオーガナイズやコラムの寄稿、他分野の方との日本酒コラボの企画などをしたりしています。

 そのような活動を全国の若手蔵元で組織する日本酒造青年協議会主催の組織「酒サムライ」と、ロンドンのワールドワインコンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」に認めていただき、2011年の「サケ・コミュニケーター・アワード」に選んでいただく機会に恵まれました。

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