困っていない人には手を差し伸べない――この考えは間違い佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(最終回)(1/3 ページ)

» 2012年09月29日 07時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係:

 少子・高齢化に歯止めがかからない日本市場は、「縮小していくのみ」「よくて横ばい」といった見方が強い。企業は沈みゆく市場から抜け出し、グローバル化の中で新たな“財宝”を手にしようとしている。製造拠点を海外に移転したり、海外との取引を増やしたり、社内公用語を英語にしたり――。

 こうした一連の動きによって、私たちの働き方はどのように変化していくのだろうか。また企業が巨大化すれば、私たちの生活は充実するのだろうか。この問題について、ITやメディア事情に詳しいジャーナリストの佐々木俊尚さんと、アップルのどん底時代と黄金時代を経験した松井博さんが徹底的に語り合った。全9回でお送りする。


ネット上での募金活動

松井博さん

松井:米国の健康保険はものすごく高い。私の知り合いのお子さんが重い病気になって、手術を何度もしたんです。医療費はどうするんだろう? と思っていたのですが、自然発生的に募金活動が始まりました。それなりにまとまった額が集まったようです。そうしたつながりもひとつのあり方なのかなあと思いますね。

 Webサイトを立ち上げ、ワンクリックで寄付が集まるような仕組みにしていましたが、募金活動に携わった方々は人の善意を肌で感じていました。知らない人からもたくさん寄付してくれていたので。

佐々木:クラウドファンデング(ネットを通じて、不特定多数の人からお金を集めること)って、日本でもお金が集まりやすいですね。日本ではまだ個人間送金が法的に難しいのですが、今後は環境が整ってくると、もっと簡単にお金集められるようになるでしょう。

松井:日本ってPayPal(ネット使った決済サービス)のアカウントって作れるんですか?

佐々木:作れます。ただしビジネスで利用するのはOKだけど、ビジネスを抜きにした個人間送金はダメ。対価ならいいんです。

松井:自由業はどうなのでしょう?

佐々木:大丈夫です。私もつくっていますから。

 PayPalのようなインフラがどんどん整備されれば、ちょっとした商売もどんどんやりやすくなるでしょうね。

松井:例えば、本を出版する場合も、自分のサイトから売ったほうがいいかもしれませんね。

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