Webに、超一流作家のコンテンツを出せる場所を――cakes代表・加藤貞顕氏インタビュー(6/7 ページ)

» 2012年09月28日 08時00分 公開
[渡辺聡,Business Media 誠]

Kindleや有料メルマガとの違い

――cakesの競合というと、どういうものになるのでしょうか。

加藤 外からみると、AmazonのKindleが競合に見えるかもしれませんね。Kindleのような電子書籍は、本を電子化したものなわけですが、cakesは本や電子書籍とは補完しあうもので、競合するものじゃないんですよ。だから今後はコンテンツを融通しあったり、販促で手を組む協力関係になれたらなあと思っています。

 有料メルマガとも良く比べられますが、登録した人のだけ見られるのではないところや、コンテンツをアグリゲーションしているところ、(著者に任せっきりではなく)編集の手が入っているところが違いです。例えば、やまもといちろうさんの結婚に関する記事が人気なのですが、これは担当した編集者がやまもとさんに「結婚や家族をテーマに書いていただけませんか」という提案をして、いただいた原稿に対してもフィードバックをしたりして、作っていったものです。編集が入ると、そういう面白さが出せることはたくさんあると思います。

――市場、特に日本市場の先行き議論としては、先行ケースとして米国でデジタルコンテンツが伸びてきているという動きが取り上げられる機会が増えてきていますが、日本も同じ形で後追いするものでしょうか。

加藤 米国のコンテンツモデルは、ものすごくお金をかけて作ったものを世界で売る、というモデルです。日本でそこまで世界中で売ってこれるプレイヤーは現状多くありません。なのでまったく同じになるとは言い切れません。

 この先は、アジア圏を中心に外に出て行くコンテンツが増えていくのではないかと予想しています。紙やパッケージの形だと物流を中心に経由だと現地会社に任せなきゃいけないことが多く、実売数についての行き違いなどトラブルの原因になったりもしています。しかし、直接デジタルで販売できるようになれば、言葉の翻訳などができれば、上手くリーチできるようになると思います。

 出版社のコンテンツは、いまのところ上手くデジタルの世界に出てこられていません。既存の出版社と、ネット側をうまく仲介統合する立ち位置の人がいなかったためです。私自身、コンピューター系のことを触ったりと経験に加えて、エンジニア、ネット側の人を混ぜたチーム体制になっています。出版社の人がcakesを使い倒して、デジタルの世界でビジネスをする足がかりにしていただけたらうれしいなと思っています。

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