Webに、超一流作家のコンテンツを出せる場所を――cakes代表・加藤貞顕氏インタビュー(4/7 ページ)

» 2012年09月28日 08時00分 公開
[渡辺聡,Business Media 誠]

加藤さんは経営者? 編集者?

――人を増やしていくとなると、全体に目を通すのは難しくなっていくところです。最終的にはプラットフォームとして動かしていきたいと言われていましたが、編集者としての関わり方と、ピースオブケイクの代表取締役としての関わり方、加藤さんはどのようなバランスを目指しているのでしょう。

加藤 究極的には完全にオープンにして、まったくタッチしないようにしたい。今はだいたい全部見ているのですが、段階的にオープンにしていく見通しでいます。今でも、おおむねの企画内容は聞くけれども、中身の細かいところまでは確認せずにお任せしているところもあります。雑誌の編集長は全部の文章に最終的に目を通して確認しますが、(自分の場合、cakesでは)そこまではしていません。

 サイトサービスとしては、チームで記事運営ができるようになっていて、個人ではなくクリエーターチームとしても登録できるようになっています。合わせて、チームの中も収益分配も設定して自動的に事務処理ができるようになっています。こういう執筆に関わらない事務部分を手でやると大変になってしょうがないのは前から実感していましたので、エネルギーを割かないでできるようにしました。

 また、著者以外の人、デザイナーなどにも印税的な販売部数比例の報酬体系があっていいだろうということで、クリエイターチームには著者だけでなく編集やデザインの人も加われるようにしています。クリエイターチームの中で決めた料率配分に応じて記事報酬が受け取れる仕組みです。

 なので、超有名な写真家に写真をお願いする代わりに配分は写真家の方に全部……などといったことができます。配分の選択肢を増やすことが、新しいクリエイティビティを刺激することになれば良いです。

 書籍だとどうしても流通上の制約があるので、単行本に1500円以下の値段を付けるのは難しいです。でも、デジタルになると売っていく手間のところさえなんとかできれば自由度は上がります。

 一流のプロが参加できる場を作りたいとの目標があるので、しばらくの間、ある程度の制御は必要かなと思っています。まずはしっかりと場所を作って、それから徐々に開いていく形になるかと思います。cakesの登録ユーザー向けには、コンテンツの表示優先順位を自動的にその人向けに調整するパーソナライズ機能が標準提供されているので、ある程度コンテンツが増えてきたら、自然とその人が見たいものが表示されるようになって、プロアマ混じっていろんな人が参加してもいい物が自然と上に出てくるような形になるはずです。

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