それでもオスプレイは配備される――そう感じるワケ相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

» 2012年09月27日 08時01分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

 幹部発言を少し補足して説明する。

 外為市場の過度の変動に際しては、財務大臣と財務省が市場介入という措置を講じる。この際、日銀は財務相の代理エージェントとして市場でドルの売り買いを行う。だが、実際は日銀が詳細に市場の動向をウオッチし、介入のタイミングを同省に伝える役割を果たしている。

 日本の通貨である円を管理するのは、政府と日銀の役目ではあるが、これが対ドルなど他国通貨に影響が及ぶ際は、米国財務省や連邦準備制度理事会(FRB)などとの事前協議が必要となるわけだ。

 先ほどの幹部発言の真意は、こうだ。

 東京市場の時間帯で日銀が介入しなければ、取引の潮目が大きく変わってしまうタイミングがあった。米国当局者に通告したが、タイミングを逸し、結果として事後報告になった。通常は連絡してくるのに、事後報告とはなにごとだ、というのが米国の怒りの真相だ。この際、先に触れたように「いつから独立国家になった?」との屈辱的な言葉が飛び出した、という構図だ。

 このほかにも、国際金融会議の場で日本側当局者が罵声を浴びせられる場面に私自身何度も遭遇した。それだけに、先の幹部が酔わなければやってられない、という心境に至ったことも容易に想像できた。

 当時の日米当局者の大半は引退しているが、現状はあまり変わっていないというのが私の日々の取材で得ている感触だ。

防衛分野は最優先

 話をオスプレイに戻す。

 今般のような米軍の重要兵器に関する事案になれば、日米間の力関係は「金融の交渉などとは比べ物にならないくらい米側が優位」(政府関係者)であることは間違いない。

 先に触れた通り、米側は何度も日本側と交渉し、日本の防衛相がオスプレイに試乗するようなパフォーマンスまで用意し、反対論の火消しに躍起となっている。

 また主要メディアでも、米側が低姿勢で事態を打開しようとしているとの主旨で報道されている。だが、日米交渉の裏側を知る身としては、これは明らかに米側のポーズだと断言できるのだ。

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