巨人と松井、今もなお吹くすきま風臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)

» 2012年09月27日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

巨人ベンチから「巨人入りだけは勘弁」の声

 2002年のオフに巨人からFA宣言し、ヤンキースへ移籍。2009年のワールドシリーズMVPも現在はフリーの身で今オフの去就が注目されている。来季の日本球界復帰がささやかれ、国内球団では巨人の他にDeNAと楽天が水面下で松井獲得に向けた調査を開始しているとの情報もある。この両球団は「長距離砲」が不在だけに、人気面でも文句なしの松井はノドから手が出るほどに欲しい選手といえるだろう。

 一方、古巣・巨人の台所事情はどうか。前記したように戦力は十二分。4番の阿部慎之助を筆頭とした強力打線はメンバーが固まっている。守備に関しても松井の定位置である左翼を含めて外野手は飽和状態だ。ゴジラ獲りに動く理由は、どこにも見当たらない。巨人のフロント関係者は、苦渋に満ちた表情で次のように打ち明ける。

「本音を言えばウチは松井を是が非でも獲りたいとは思っていない。しかしねえ……。ファンの心理を考えれば、獲得に動かざるを得ないんだよ」

 松井は長きに渡って巨人の4番に座り、黄金時代を築き上げた。チームの大功労者が日本球界復帰を決意したにも関わらず、獲得に手を挙げないとなれば、ファンからの猛反発は必至。「それだけは避けなければならないから、仕方なく獲りに行く」というわけだ。

 何を隠そう現場もゴジラ獲得を望んではいない。明らかに衰えが目立つ松井が、いまさらチームに戻って来ても首脳陣は起用法で頭を痛めるだけのようだ。実際に松井獲得プランを耳にした一軍の某コーチは「松井ほどの実績がある選手を代打要員としてベンチに座らせておくわけにもいかない。そうかと言って、せっかく育って来た若い選手を押しのけてピークの超えたベテラン選手をスタメンで使えば、チーム内から間違いなくブーイングが出る。願わくば、巨人入りだけは勘弁してほしい」と顔をしかめていた。

 一部では松井を一塁手としてコンバートさせる案も球団内で検討されていると報じられているが、このコーチは「40歳近いベテランがプロで一度も守っていないポジションに就くなんて自殺行為に等しい。逆に彼がかわいそうだ」と否定している。

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