竹島や尖閣諸島の領有権問題で揺れる日本。しかし、国と国との争いは、いつの時代でもどんな場所でも発生しているもの。日本は過去の事例から、どのように考えるべきか、どう対処すべきかを学ぶことができるのではないでしょうか。
本連載では、暁氏(@zyesuta)が防衛に「ちょっと興味はあるけど、よく知らない」という人向けに書いているブログ「リアリズムと防衛を学ぶ」の中から、日本人のヒントになるような事例を紹介していきます。
この記事は、2012年8月30日に掲載されたブログエントリを再構成したものです。
両国が領有権を争っている島。そこに、一方の一般市民が不法に上陸。両国の争いはヒートアップしていきました。
これは、30年前のお話。1982年。南太西洋の島々の領有権をめぐり、英国とアルゼンチンが争っていました。
その始まりは民間市民の上陸です。背景はアルゼンチンの経済が不調で、政権が危うかったこと。そこで、歴史的な経緯から係争中だったフォークランド諸島がクローズアップされました。国民の目をそらすためでした。アルゼンチンの民衆は、政府がやらないなら自分たちが島を取り返すんだと盛り上がります。義勇軍のような気分で、島に不法上陸したり、デモを行ったり。運動が過熱していきました。
それが政府の選択肢をせばめ、ついには戦争を引き起こしました。フォークランド紛争の始まりです。
その島々には2つの名前があります。英国人は「フォークランド諸島」、アルゼンチン人は「マルビナス諸島」と呼びます。
米国などの国も絡む複雑な歴史のなかで、英国とアルゼンチンは長らく島をめぐって争いました。
ある時はアルゼンチンの右翼がフォークランド諸島の無人島に上陸して国歌を合唱。またある時は、近くの別の諸島ですが、アルゼンチン側が実効支配を主張しようと、勝手に建造物を建設。すると英国は砲艦を出して砲撃、建物を破壊して実効支配を阻止。
いつの世も、世界の色々な場所に、こういう島や土地はあるものです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング