松井:話を戻しますが、ロボット化が進めば、中間層はどうなるでしょうか。映画『マトリックス』みたいに、ロボットの電池になるしかないのかなあと思ったりしています。
佐々木:中間層はモジュール化して、ローカルの仕事をして生き延びなければいけない。それができなければ、海外に出るしかない。この2つしか選択肢はないのかもしれません。
大手企業に勤めていても、リストラの嵐ですから。しかもリストラをしても、打開する道筋がありません。
松井:とりあえずリストラをしましょうといった感じですものね。
佐々木:例えばソニーやパナソニックは何をつくろうとしているのかがよく分かりません。リストラをしても最終的にシャープみたいに鴻海の傘下に入って、EMS化(受託生産をすること)する方向しかないのかもしれません。
松井:その可能性は非常に高いでしょう。何だか悲しいですね。
佐々木:悲しいですが、国民国家みたいな概念がだんだん薄れていくのではないかと思っています。日本人であるとか、中国人であるとか、米国人であるとかというのは、だんだんどうでもよくなって。ウェストファリア条約が17世紀に成立した以前の帝国群雄割拠みたいな時代がずっとあったわけじゃないですか、中世にはずっと。
松井:それが世界規模になるだけという感じはしますね。
佐々木:あの当時はエリアごとにね。中国エリアは清、中東エリアにはオスマントルコ、欧州には神聖ローマ帝国がありましたが、今の帝国というのは階層的な感じがしますね。
松井:あとビジネス単位になっているのかな。
佐々木:ですね。そういう形の新しい帝国時代になっていって、国民の役割は最小限になるのではないでしょうか。
松井:米国の右寄りの人たちはそのことを主張していますね。「もういいじゃないか。国の役割は防衛と警察と消防だけで。あとは、全部市場原理に任せよう」と。
佐々木:究極の小さな政府ですね。
松井:極論とは思うものの、一理も二理もあるのかなと。
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