コラム
» 2012年09月21日 08時01分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:「のんびりゆったり」はローカル鉄道を潰す (1/6)

大都市に住む人にとってローカル線といえば、「都会の忙しさを離れてのんびり」というイメージだろう。それは「旅」の発想であって「生活」の発想ではない。ローカル鉄道の再生には「生活路線」としてどうあるべきかを考えなくてはいけない。

[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 北海道を走る日本最長鈍行に乗ってきた。根室本線の滝川駅から釧路駅まで約300キロメートル。所要時間は約8時間。私のまわりの人々に話したら、その列車の存在そのものに驚かれた。そして「いいねえ、のんびりとローカル線の旅」と、感心されたり呆れられたりした。

 確かに、ローカル線の旅といえば「のんびりゆったり」というイメージはある。それは正解でもあり、誤解でもある。各駅停車は特急より遅いし、いちいち駅に止まるので「のんびり」と思うのかもしれない。しかし実際の走行速度は高い。私が乗った日本最長鈍行の速度は都会の電車と変わらない。山岳部以外のほとんどの区間で時速80キロメートルを出した。

 滝川から富良野までは1両のディーゼルカー。富良野から釧路までは2両編成。全区間にわたって、ほぼ満席。乗客は富良野へ行く観光客、帯広からは通学の高校・大学生たち。「日本最長」の珍しさからか、私のような鉄道好きもいたが、夏休みを外した時期だったので、地元のお客さんのほうが多かった。そんなお客さんを乗せて、国鉄時代に製造されたディーゼルカーがビュンビュン走る。太平洋側に出ると、隣の国道を走るクルマたちを追い越していく。

yd_sugiyama0.jpg 日本最長鈍行のルート。所要時間は8時間(出典:Google マップ))
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