なぜ恋人ができないのか? 若者の間で広がる面倒な関係仕事をしたら“若者”が見えてきた(後編)(1/6 ページ)

» 2012年09月15日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

仕事をしたら“若者”が見えてきた:

 「新入社員が毎年入社してくるけど、彼らの考えていることがよく分からない」と感じている人も多いのではないだろうか。携帯電話を触らせれば自分たちが知らない機能を使いこなしているし、若者言葉についていけないこともあったりする。また渋谷の街をあてもなく歩き回っている若者たちをみると、「近頃のヤツは……」などと、つい愚痴が出てきそうになる人もいるだろう。

 しかし私たちは本当に、若い人たちのことを理解しているのだろうか。メディアが報じる彼らの情報を見て、大人は“分かった”つもりになっているだけなのかもしれない。

 そこで若者の現状に詳しい、博報堂若者生活研究室の原田曜平氏に分析してもらった。これまで1000人以上の若者にインタビューしてきた原田氏は、彼らのことをどのように見ているのだろうか。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。


カワイイが武器にならない

原田曜平さん

原田:ドイさんに、ちょっとお聞きしたいことが。

土肥:はい、なんでしょう?

原田:若い女性の間で「私はオタクです」というが増えてきているのですが、なぜだか分かりますか?

土肥:えっ、そうなんですか? 「オタク=いいイメージがない」と考えている人は多いと思うのですが、あえて自分から名乗りを挙げるには何らかのインセンティブがあるのでしょうね。

原田:SNSを使って人間関係が増えてくれば、自分のキャラを立てなければいけなくなってきます。だから「私はオタクです」と言っているんですね。

 例えば「カワイイ」というキャラを立てようとします。昔であれば、大学生のときに「ミス○○大学」になれば、いわば“天下”を取ったようなものでした。なぜなら他の大学とのつながりがあまりなかったので、どの大学にどのくらいカワイイ子がいるのかがよく分からなかった。

 しかし、今は違う。ネットを使えばいろいろな情報が入ってくるので「ミス○○大学」になっても、他の大学では自分よりもカワイイ子がいたりする。

 昔と違ってライバルが増えているので、自分に付加価値を付けなければいけなくなっているんですよ。

土肥:「カワイイ」だけが武器にならない、ということですね?

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