就活開始を遅らせることは、学生にとって損失である(1/2 ページ)

» 2012年09月14日 08時00分 公開
[酒井一樹,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:酒井一樹(さかい・かずき)

株式会社エイリスト(就活SWOT)社長。慶應義塾大学理工学部卒業後、株式会社ジェイブレインの新規開拓営業でスタートアップからナショナルクライアントまで300社以上を担当。2009年に独立、エイリストでは「就活SWOT」などの新メディアを立ち上げ、個人としても「就職ナビを使わない就職活動」を継続している。


 早いもので今年もすでに、新大学3年生の就活が始まってきています(すでに夏のインターンで内々定をもらっている学生も出てきています)。早い場合で大学3年生の春、遅い場合でも3年生の冬には多くの学生が就活を開始する……というのが現在の就活です。

 一部ではそれに対して批判があります。2011年からリクナビ、マイナビ、エンジャパンなどを始めとするナビ系サイトのグランドオープンは12月1日に変更され、2012年もそのまま12月となる予定になっています。しかしそのことにより、逆に負担増を感じた就活生がいることも事実です。

 2010年以前は、10月にナビがオープンしてプレエントリーをしながら企業研究する機会があり、エントリーシートの書き方や自己PRの考え方に始まり、ロジカルシンキング、ディスカッションなど、さまざまな切り口から「就活支援」のセミナーが開かれます。

 これに対して2011年の就活はどうだったかというと、12月に多くの就活生が一気に就活を開始し、企業研究をする時間はほとんどないままエントリーシート提出、選考の時期に入ることになりました。実際に企業人事担当者の間では、「例年よりエントリーが集まりにくかった」という声が出ています。

 この問題はさまざまな視点から問題がありますが、個人的にすごく残念に思っているのは「就活を通じた、学生の成長のキッカケが失われている」ということです。

就活を通じて成長する、という考え方

 大学生活の中盤に就職活動が入ってくるため、「学業はどうするのか」「大学生活の中で何かを成し遂げる前にどうやって評価するのか」という批判もあります。

 しかし私はむしろ「就活を通じてどれだけ成長できるか」「就活で得た気付きを大学生活にどうフィードバックするか」の方が大事であると考えています。

 例えば、「ESを書く作業を通じて、自分の考えを簡潔に伝える方法を学ぶ」「グループワークを通じて、論理的な思考や、他者と議論する力を身につける」など、社会に出ても有用なスキル、考え方の中でいくつかは、就活を通じて身に付けることが可能です。

 もちろんこれらの成長は、就活以外の場でも得ることが可能です。しかし、「就活」を始める前の学生にとって、ビジネスとはどういうものか考えるキッカケはなかなかありません。大半の学生にとっては、就活がキッカケとなりやすいのです。

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