会社で仕事ができる人は、どんなタイプが多いのか佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(5)(4/4 ページ)

» 2012年09月14日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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松井:失敗するのは仕方がないこと。大切なことは失敗してから、立ち上がれるかどうかということ。なので人間は失敗に慣れることも必要なんだなあと思いますね。

 日本の教育は「間違えないように」と教える傾向がありますが、そうではなく「間違ったら、直す」ということが大切なのではないでしょうか。

佐々木:日本というのは「失敗した人間を叩く」という悪い癖がある。農村ではよそ者がやって来ると、みんなでじーっとその人のことを見ている。これは農村だけでなく、都市でも同じようなもの。

松井:いまは平成ですが、じーっと見る悪い癖が続いているという意味では江戸時代のころとあまり変わりはありませんね。

佐々木:「村社会的なのは日本の伝統だから変えようがない」という人もいますが、私は『中国化する日本』(著・與那覇潤)に書かれていたことが印象に残っています。この本には「今の日本の村的パラダイスは1600年頃に生まれた。それ以前は村的なものはなかった」といったことが記されていました。著者は西暦1600年以前、日本には村的なものはなかったと指摘しているのですが、歴史学者の中には「400年ぶりに日本は変わるかもしれない」といった声もあるんですよ。

松井:シリコンバレーにやって来る日本人って“濃い人”しかいないんですよね(笑)。とりあえず飛び出して外国に行ってみよう、という人しか来ません。

佐々木:そりゃ会社の歯車で暮らしている人間は行かないですよね。

松井:そうなんですよ。なので、疲れちゃうんですよね。濃すぎる日本人が多くて(笑)。私もそのうちの1人なんですけど、お互いの毒気に当てられて、もう少し薄い人と話したいなあといった気持ちになってしまう(笑)。

佐々木:ハハハ。日本には薄い人が多いので、濃い人と薄い人の間――つまり中間層が増えればいいのかもしれませんね。

松井:ですね。

つづく

2人のプロフィール

佐々木俊尚(ささき・としなお)

作家・ジャーナリスト。

1961年兵庫県生まれ。愛知県立岡崎高校卒、早稲田大政経学部政治学科中退。毎日新聞社、月刊アスキー編集部を経て2003年に独立し、IT・メディア分野を中心に取材・執筆している。『「当事者」の時代』(光文社新書)『キュレーションの時代』(ちくま新書)『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー21)など著書多数。総務省情報通信審議会新事業創出戦略委員会委員、情報通信白書編集委員。

松井博(まつい・ひろし)

神奈川県出身。沖電気工業株式会社、アップルジャパン株式会社を経て、2002年に米国アップル本社の開発本部に移籍。iPodやマッキントッシュなどのハードウエア製品の品質保証部のシニアマネージャーとして勤務。2009年に同社退職。ブログ「まつひろのガレージライフ」が好評を博し、著書『僕がアップルで学んだこと』(アスキー新書)を出版。現在は2冊目の『私設帝国の時代』(仮題)を執筆中。twitterアカウントは「@Matsuhiro


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