「日本のちゃんと」をマーケティングしていきたい郷好文の“うふふ”マーケティング(2/4 ページ)

» 2012年09月13日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

コトラーもたかが半世紀の学問

 宇宙から見てみよう。北半球は富んで南半球は貧しい。地球温暖化に資源の乱獲。貧富の二極化、飢餓と飽食の二極化が進んでいる。ごく少数のエリアだけが突出していびつなのだ。地球は決して丸くない。

 私たちはバブル経済の破綻のあと過去20年続くデフレ不況でもがきつつ、がんばってきた。だが「借り手も貸し手も無責任」のなすりつけあいのサブプライムローン、「欲望ゲームの果て」のリーマンショックという米国発の砂嵐が吹いた。今は欧州の小国ギリシャの風邪が世界中を流感にする。会社が減り、正社員が減り、失業者が増え、ナマポが増えた。働くことが美徳だった日本がこわれつつある。

 そこに3.11。「便利な生活や経済発展って何なの?」と突きつけられた。「上っ面のマーケティングなんてやってる場合か?」と刺しこまれた。もういいんじゃねえの?と。

 マーケティングは欧米発の「大欲を追う思考と発想、その実践」である。制覇的な志向がベースにある。マーケティングだけじゃなく、経済でもマネジメントでもすべて成長志向、市場制覇主義がベースにある。私たちはそれが正しいと信じて取り入れてきた。だがその結果、私たちは幸福だろうか?

 私はおかしいと思う。大欲や株主のために何もかも犠牲にするのが正しいと思えない。そのお先棒をかつぐマーケティングならゴメンだ。

 思えばコトラーもレビットもドラッカーもたかが半世紀、ケインズだって1世紀もたってない。どれも絶対じゃない。自分が20年以上関わってきたことを否定するのはツライ。でも前世紀のマーケティング(の悪い部分)はきっぱり捨てて、今世紀のマーケティングを前向きに考えよう。

 そろそろ「大欲から少欲」へ転換してもいいと思う。

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