「日本のちゃんと」をマーケティングしていきたい郷好文の“うふふ”マーケティング(1/4 ページ)

» 2012年09月13日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 ホンネを言おう。実は私はマーケティングがきらいだ。

 もともと上っ面な「売らんかな」や「盛り上げイベント」がきらい。「マーケティング」というどこかちゃらい、何をするかイメージしにくい用語も好きになれなかった。ここ1〜2年、それが抑えこめなくなってきた。

 マーケティングリサーチの仕事もしたし、コンサルティングもしたし、実践もしてきた。中小企業診断士試験もこってり勉強した。この連載も4年以上継続だ。何をかいわんや、かもしれない。今回はホンネを書いてみたい。

市場主義はほんとに幸せか?

 巷でイメージするマーケティングとは「話題づくりや盛り上げ」「奇抜なイベント」の企画・実行策。あるいは「トレンドの新製品開発」や「差別化のある商品販売」。お客さんが手にとりたくなる「品揃えやお店づくり」や「新製品◯◯◯が売れる秘密」という分析でもある。

 そこにおもしろさはあるし、マーケティングとはそんなものと思っていた。もうちょっと私流に言えば「消費者のいいね!」や「売り手のすごい!」「こうすればよくなる」。

 ところがだんだん「それでいいの?」と疑問がフツフツしてきた。今年はマーケティングぎらいがマックスになった。自分を剥いてゆくとワケが見えてきた。

 売って儲けて豊かになる――それは本性でもある。私もお金は欲しい。でもそれが幸せなのか? 「だれも彼もおしのけて」でいいのか。「敗者をたくさんつくる」「自分だけ儲かればいい」を助長するのはもうたくさん。

 こんなことを言うのは、私が会社を辞めて独立して、自由な立場なせいもある。今年数回訪れた長野の温泉地で、田舎のスローな風にあたったせいもある。正直、加齢効果もあると思う(ただいま52才)。でももうそろそろ裸で生きたい。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.