知恵を出せば仕事が増え、お金が回るかもしれない佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(4)(2/5 ページ)

» 2012年09月12日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

デジタルの仕事が増えている

松井博氏

松井:アップルは「正社員は6万人」と言ってますが、本社で働いているのはせいぜい1万人くらい。あとはみんなApple Storeで働いたり、各国で流通や販売をやったりしている。そういう意味で言えば、本社で開発している人って少ないですね。

佐々木:本社では、経営と設計デザインしかやってないんですよね。

松井:なので、モノを作っている現場を見る機会がほとんどないんですよ。

佐々木:なるほど。中国にはあまり行かない、と。

松井:中国に足を運ぶエンジニアもいますが、そうした人たちは少数派ですね。もちろん製造管理をする人たちはよく行っていますが、彼らは大変なんですよ。中には「SARSの疑いがある」という人もいて。米国に戻ってきても、飛行機からそのままホテルに入れられて、「1カ月は外出禁止」と言われたりして(笑)。

佐々木:それはプラットフォームを作る側の宿命ですね(笑)。

 さきほどの話に戻りますが、うまくネットを活用している人たちはローカルな仕事もしていますが、グローバルな仕事もすることができる。または自分の作っているものをグローバルプラットフォームを活用して、円滑に流通させることができる。

 これまでであればアフリカのチャドにヒップホップのミュージシャンがいても、その人たちが作った音楽を聴くことは難しかった。でもいまはiTunesがあるので、日本でも数百円を出せば聴くことができる。

松井:市場というものがその国だけにとどまらず、ワールドワイドになるわけですよね。

佐々木:特に言語を使わない、映像や音楽などは大きく変化してきました。グローバルにビジネスをすることが、以前よりも簡単になりましたよね。

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