今や老若男女を問わず、愛されるようになったアニメーション。「日本のアニメーションは世界にも受け入れられている」と言われることもあるが、ビジネスとして健全な成功を収められている作品は決して多くない。この連載では現在のアニメビジネスについてデータをもとに分析し、持続可能なあるべき姿を探っていく。
前回の記事「映像作品の原作はどこから? 日本アニメの半数以上はマンガ」で、アニメだけでなくテレビドラマ、映画などでもマンガが“マザーコンテンツ(=原作供給源)”となっていることを理解してもらえただろう。
圧倒的な量と質を誇る日本のマンガ産業。日本のマンガ産業は世界的に見ても飛び抜けた存在で、それゆえにマザーコンテンツとして君臨できているという事情がある。
ところが、圧倒的なパワーを誇ってきたマンガも最近は売り上げの減少が目立つようになってきた。ということで、今回は世界に冠たる日本のマンガ産業が危機を迎えつつあることについて述べてみたい。
かつて、「日本を訪れた外国人が電車に乗って、マンガ雑誌を読んでいる人間を見て驚いた」という話をよく耳にした。最近はスマホを見ているようなので目立たなくなったが、統計的に見ると相変わらずマンガ大国であるのは確かである。
統計を見ると、2011年のコミック誌(=マンガ雑誌)販売部数は5億1603万冊、コミックス(=マンガ単行本)販売部数は4億5216万冊と、合わせて1人当たり年間8冊買っている計算。また、雑誌と書籍を合わせた出版物全体の販売部数26億8983万冊のうち、コミック誌+コミックスは9億6819万冊で36%を占める。つまり、日本では販売部数ベースで見ると、出版物の3冊に1冊がマンガということだ。
日常的にマンガに囲まれていると気付きにくいが、改めて統計に当たるとその存在の大きさが分かる。詳しくは後編で触れるが、このような出版状況は世界的に見ても異例だ。
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