就活生に失礼な企業にありがち、「サイレントお祈り」とは?新連載・サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2012年09月10日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

就活生と同じ土俵に立つ採用担当者

 サイレントお祈りの進化系として、いま就活生を困らせているのは「約束したのに履行されない」状態です。まだ上手いネーミングがないので、状況を説明するだけになってしまうのですが、簡単にいうと、採用担当者が応募してきた就活生に対し「この選考の結果は、月曜日までにメールでお知らせします。次の選考に進んでいただく方にも、そうでない方にも、必ずメールします」と約束しておいて、結果メールを送らないということが頻発しているのです。

 就活生にしてみれば、約束された日時までドキドキして待っているわけです。次の選考に進めるのか、それとも不採用なのか。通知してくれるということなので、正直にジッと待っているわけですね。でも、まったくメールは届かない。ソーシャルメディアで周囲の状況を確認すると、どうやら次の選考に進める人には通知が来ているらしいと察しても、不採用だって通知すると言っていた、採用担当者の言葉を信じて待つわけです。

 でも、約束は守られない。しびれを切らせた就活生が企業に直接電話をし、採用担当者に問い合わせをしたというケースもあるのですが、その中には「担当者が不在なので、折り返し連絡させます」と伝えられて、結局折り返しの連絡はなかった、というひどい話も少なくない。表現は適切ではないかもしれませんが「就活生に失礼な対応をする企業が増えている」のです。

採用担当者の言い訳は?

 ただ、この話を採用担当者にすると、とても面白い反応が帰ってくることも。その典型的な例が「いやいや、就活生だってかなり失礼な対応をしますよ」というもの。会う約束をしていたのに無断で反古にしてしまう。説明会にも無断で不参加。面接も簡単にすっぽかす。次の選考の日時をすり合わせようとしてもまるで連絡がつかないなど、就活生たちの失礼さ加減をぼやくのです。

 ここまで読んで笑ってしまったという人も少なくないと思うのですが、いつの間にか社会人であるはずの採用担当者たちが、学生である就活生たちと同じ土俵に登ってしまっているのです。そして、言い訳をし、文句を言う。

 たとえ就活生の失礼さに文句があるからといっても、「合否を連絡します」といったにもかかわらず、それを履行しないという理由にはなりません。かつて、新卒採用は「おもてなしの心が大切である」といわれていました。例えば、お菓子メーカーの採用担当者の目の前にいる就活生たちは、いまは単なる応募者ですが、その場を離れてしまえば顧客になる可能性が大きいわけです。採用のプロセスにおいて理不尽な仕打ちをしたために学生に嫌われてしまったら、大きな機会損失につながります。

 消費者との直接の接点がない、機械メーカーのようなところでも同様です。その企業を受けているということは、同業他社にも応募している可能性が大きい。ということは、未来の取引先の信頼を損なってしまうかもしれない。だからこそ、採用担当者は就活生に慎重に接することが求められていたのです。それが薄れてしまっているのも、イマドキの就活の特徴なのかもしれません。

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