佐々木:そこで、新しい権力構造のようなものが確実にできていますよね。これはポストモダンの現代思想の話になってしまうんですが、かつては「規範型」という法律があって、お前らこうしろみたいな、独裁者がいてといった分かりやすい権力がありました。しかし、今は「環境管理型」といって、どこに権力構造が働いているのかよく分からなくなっている。環境そのものが権力化していくのかもしれません。
政治なんかも最近、ポリティクスじゃなく「ビオポリティクス」へと変化してきている。要するに生政治ですよね。政治が我々の生きている生活そのものに浸透している状況。今の石油メジャーやアップル、グーグルなどでもそうなのかもしれないですが、我々の生活基盤をプラットフォームが抑えている。現代思想の世界で70年代、80年代にかけてずっと言われてきたことが、ついに現実になってきました。そして2000年代、2010年代はそれが加速しているのではないでしょうか。
松井:していますよね。
佐々木:こうした動きに、どのように対抗すればいいのか。なかなか難しいのですが、ジル・ドゥルーズという哲学者は「ノマド化しましょう」と言っている。垂直なツリー型といった関係ではなく、根茎(こんけい)型ですね。またアントニオ・ネグリという哲学者は「帝国」という言葉を使い、世界がプラットフォーム化していくことを予言しています。ただプラットフォームに依存しながらも、それに対抗することが必要だとも言っています。
松井:「1%の奴が悪いんだ」と言いながら、ちゃんとiPhoneやTwitterを使うといった感じですよね。
グローバル企業は国をまたいでいるので、1つの国の政府で「これをこっちに戻してくれ」とか「ここの環境を破壊しないでくれ」とか言っても、もうどうにもなりません。
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