米大統領選でうごめくハリウッドセレブたち伊吹太歩の世界の歩き方(3/3 ページ)

» 2012年09月06日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]
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セレブゆえに許される、言いたい放題

 イーストウッドが共和党員であることは有名だ。そして同じ会場には、アンジェリーナ・ジョリーの父親である俳優のジョン・ヴォイトもいた。このように米国ではセレブが政治的な支持を表明するのは珍しくない。

 トム・ハンクスは民主党支持者で、2008年の大統領選ではオバマを支持するビデオに登場した。ベン・アフレックは忠実な民主党支持者として知られる。アクション映画で一世を風靡したチャック・ノリスは共和党支持者で、共和党に3万ドル(約235万円)の寄付をしたこともある。グウィネス・パルトロウは民主党支持者で、在外者に向けた民主党のビデオに登場している。

 ほかに例を挙げると、アンディ・ガルシア、シルベスター・スタローン、ブルース・ウィリス、メル・ギブソン……などが共和党支持者として知られている。一方で、ロバート・デニーロ、ハリソン・フォード、ジャック・ニコルソン、レオナルド・ディカプリオ、レディガガ、マット・デーモン、キャメロン・ディアス、エミネム……などは民主党支持者だ。

 黒人の映画監督であるスパイク・リーは、2008年の大統領選で黒人のオバマを熱烈に支持していたが、実際のところはどこまで民主党支持者なのかどうかは判然としない。黒人を大統領に、という思いがあったのかもしれない。そういう意味では、サムエル・L・ジャクソンは非常に分かりやすい。今年雑誌のインタビューで、「オバマが黒人だから投票した……オバマの(政策的な)メッセージはオレにとっては何の意味もない」と語っている。政治家は当選するために嘘をつくものだからとも付け加えた。

 セレブは発言力や影響力があるだけに、ときにメディアが批判的に大騒ぎすることもある。ただ一方でセレブであるために、その発言に多少誤りがあっても、よほどのことがない限り大問題になることもない。比較的言いたい放題しゃべっており、支持される政党側にとってはありがたいという面もある。イーストウッドはスピーチでオバマが弁護士であることを批判したが、実はロムニーもオバマと同じくハーバード大学法科大学院を卒業している。ただそれもご愛嬌といったところか。

 支持者を増やせるかどうかは別問題だが、それでもやっぱりクリント・イーストウッドが壇上に上がり、「Go Ahead, Make My Day」でスピーチを締めくくれば、大きく注目されることは否定できない。大統領選挙には、いろんな意味でエンターテイメント的な要素も不可欠なのだ。

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