ソーシャルリクルーティングを使って、上手に転職する方法これからのことがよく分かるコラム(4/5 ページ)

» 2012年08月29日 08時00分 公開
[三木拓朗,Business Media 誠]

個人が準備すべきこと

 新しいプロセスは、従来の転職活動よりも負荷が小さく、かつ転職後の満足度も高いなど、良いことが多いが、現時点でこの利点を得られる人はまだ少数である。なぜなら、新しいプロセスで転職できる人は、在職中に周囲(特に社外)の人からのリファレンス(高い評価)を多く集めているからだ。

 残念ながら現状を見る限り、リファレンスを得ている/リファレンスを得る活動を積極的に行っている人はまだ少数派であるだろう。つまり、リファレンスをあまり得てない多くの人にとっては、転職は今よりもより厳しいものとなる可能性がある。

 例えば、ITエンジニアへのインタビューでは、多くの人から「『転職したい』と言ったときに、どこからも声がかからなければ転職は厳しい」ということを聞いた。

 このことからも、転職をしたいと思ったときには既に転職成否の大勢が決まっており、そこから努力をしても巻き返しは難しい。つまり、転職しようと思う前からリファレンスを得られるように活動していくことが転職の成功にとって重要であるかが分かるだろう。

 では、リファレンスを高めるためにはどんな活動が必要だろうか? ITエンジニアの領域を参考に挙げると、大きく3つのことに集約できる。

(1)自分が興味のある技術領域のコミュニティに参加し人脈を作る

(2)その領域に関する最新情報や、自身のノウハウを勉強会やブログで発信する

(3)自分の仕事上でのアウトプットのうち、外部公開可能なものを公開する

 これらの活動を通じて、 「○○の技術は△△さんが詳しい」という認知ができる。それが個人のブランドとなり、「今度□□の仕事があるのだけどどう?」といった話が持ちかけられ、タイミングによっては、転職に至るという構造だ。

 なお、上記の3つの活動を支援するためのサービスが、次々とリリースされている。代表的と思われるサービスを4つ紹介したい。

Github:ソフトウェア開発ツール、第三者へのコード(プログラム)の公開なども可能。このコードを見て、スカウトを行う企業も多い。

CoderCharts:プログラミング力可視化サービス、特定の技術×レベルごとにテストがあり合格すると、技術証明となるバッチがもらえ、自分の技術をアピールできる。

CodeIQ:実力可視化&人脈支援構築サービス、企業のエンジニアの問題に解答し評価を受ける。その解答が、企業の目に止まれば企業のエンジニアと交流会の誘いが来て、人脈が構築できる。

Folkwell:スキル可視化サービス、つながっている人からの技術認定を受けることで、自身のスキル領域を明らかにする。またそのリファレンスを使って企業に応募できる。

 なお、最近では、社外での評価を処遇に反映させる企業も増えていると聞く。人脈を作り、その場でアウトプットし、リファレンスを得ていくことは、転職を考えていない個人にとっても重要となってくるであろう。

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