誰が日本の政治に責任を持つのか藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

» 2012年08月27日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]
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問題は民主党だけではない

 もっともこうした「決められない政治」の問題で民主党政権だけを責めるのはフェアではないかもしれない(もちろん政権党だから野党よりはるかに責任が重いのは当然である)。自民党は9月に総裁選を控えているが、谷垣現総裁、石破茂前政調会長、石原伸晃現幹事長の名前があがっている。そのほかにも、町村信孝元官房長官、安倍晋三元首相の名前も取り沙汰されているが、それでは彼らの政策にどの程度の違いがあるのか、今の日本をどうしようとしているのかはさっぱり見えない。

 民主党が政権党のていをなしていないことで、自分たちに自動的に政権が転がり込んでくると考えているからだろうか。民主党批判ばかりが目につく一方で、自民党の独自政策といったら国土強靱化という土建国家丸出しの構想ぐらいしか思い当たらない(もちろん公共事業=悪とは思わないが、国土を強靱にすることで日本経済の成長力が強靱になるとは思えないのである)。

 外交においても、民主党を批判するのは簡単だが、尖閣諸島や竹島、北方領土、そのどれ一つとっても自民党が何らかの解決をしてきたとは言えまい。むしろ「棚上げ」は自民党時代の得意技ですらあった。もちろん領土問題が噴き出してきたのは、鳩山政権の「負の遺産」そのものだとは思うが、そのマグマを残してきたのは自民党政権である。そして自民党政権になったら、外交がどう変わるのか変わらないのか、それもまったく見えない。

 二大政党制ははるか昔の夢のようになり、地域政党も含めて一種の「乱立状態」。選挙に弱い衆議院議員は来たるべき総選挙に向けて、どこから立候補すれば有利かを考える。あるいは選挙に強いはずの議員も、将来の野望に備えて水面下で離合集散を繰り返す。いったい何をやりたくて政治家になっているのか、一人一人の議員に問いただしたいと考える有権者も少なくあるまい。

 既存のシステムが金属疲労を起こしているのであれば、オーバーホールが必要だ。それをせずに表面だけ直したように見せかけても、どこかの証券取引システムのようにまた同じことが起きる。それはそれで大問題ではあるけれども、しょせんは一取引所の問題。しかし国の舵取りは1億3000万人の生活がかかっているのである。そのことを改めて政治家諸氏に考えてもらいたいと思う。

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