コラム
» 2012年08月27日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:誰が日本の政治に責任を持つのか (1/2)

党内をまとめきれていない民主党。一方、野党第一党の自民党も独自政策を打ち出せる雰囲気はない。いったい何をやりたくて政治家になっているのか、一人一人の議員に問いただしたいと考える有権者も少なくないだろう。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 もはや民主党政権は末期症状である。これほどの素人政権に日本を任せておくことはできない。それは政党支持率を見ても分かることだ。あれほど人気のない自民党を下回っているということは有権者がいかに幻滅したかということだ。

 民主党の一番の問題点は、党内ガバナンスが何もきいていないことだ。それは以前にも書いた。今国会での法案成立率も過去最低ラインだが、衆参がねじれていない時でも法案成立率は50%をちょっと超えるぐらい。すなわち政府が提出した法案の2本に1本しか成立していない(鳩山・菅内閣)。それは党内で法案成立に必要なプロセスが踏まれていないからだ。もちろん「俺は聞いてない」とすごむ議員もいたというから、初めて味わう権力の味に興奮していたのかもしれない。

 政治の世界だから、「妥協」はつきものである。妥協しつつも自分たちが目指す社会に向かって一歩でも二歩でも進むのが政治だ。そのためには、相手を説得する技術も必要だし、相手の言うことをよく聞いて、妥協する道筋を見つける技術も必要だ。党内ですらそれができないままに消費税増税法案を国会に出し、結局は造反、離党者を出してしまった。この「分裂」という事態を招いた戦犯は、輿石幹事長と前原政調会長だと考えるが、結局、野田総理は党が分裂しても2人を更迭することはなかった。

 増税は「政治的自殺行為」とも言われ、それをやり遂げた野田首相を評価する向きもある。とりわけ海外メディアにその傾向が強い。日本の財政状況を見れば、増税は必要だし、それも課税基盤の広い消費税であることは、外から見れば自明のことだった。しかし小泉政権も含めて消費税は触らず、あまつさえ小泉政権以降は財政再建すらどこかに行ってしまった。その意味では「直勝内閣」と言われようが、3党合意という大譲歩をしてまでも消費税増税をやり遂げた野田首相の踏ん張りは評価されていいのかもしれない。

 しかし財政再建というならば、消費税引き上げと並んで必要なことは社会保障の給付制限だ。実際、厚生労働省が先ごろ発表した国民医療費の最新データによると、昨年度の概算国民医療費は総額37兆8000億円。そのうち70歳以上の医療費は17兆円(70歳未満は18兆9000億円)である。増加率で見ると、70歳未満が1.8%であるのに対し、70歳以上は4.4%になる。団塊の世代が70歳以上になるのは5年後からだが、そうなると70歳以上の医療費はもっと大幅に伸びる。

 その意味では「待ったなし」なのに、民主党政権は、医療費も含めて社会保障関連の費用の見直しはほとんど先送りしてしまった(唯一実現したのは、インフレ加算で払いすぎていた年金を引き下げるということだけだ)。そして国民会議で議論するというのも実際にはどうなるか分からない。

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