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» 2012年08月27日 08時00分 UPDATE

ちきりんの“社会派”で行こう!:「ちょこっと稼ぐ」から始めよう (2/2)

[ちきりん,Chikirinの日記]
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「誰かに雇ってもらう」必要があった日本

 実は日本以外の国では、リアルな世界でも「ちょこっと稼ぐ」を実践している人はたくさんいます。新興国では信号待ちをするクルマに飲み物や新聞を売りに来る子どもたちがいるし、バスステーションや鉄道駅で、屋台とも言えないほど小さな台の上に、果物や食べ物を並べて売っている商売人がいます。会社員が勤務後にタクシードライバーをやっていたり、夜店を開いていたりすることもあるでしょう。米国では高校生が、個人でベビーシッターや洗車のアルバイトを始め、お小遣いを稼いでいます。

 しかし日本では今まで「お金を稼ぐ」ためには、学生アルバイトであれ、会社員であれ「誰かに雇ってもらう」必要があると考えられていました。自分で何かを始めてお金を稼ぐのではなく、「雇ってもらう」しか食べていく方法がないと思うから、新卒の就職活動の成否が過大に重要視されているのです。

 実際に日本にはさまざまな規制があり、勝手にお弁当を作ってオフィス街の路上で売ることも難しいし、観光地でパントマイムや演奏をしたり、駅で荷物を運ぶ手伝いをすることもできません。そして何よりも問題なのは、こういった規制が多すぎるせいで、大半の人が「雇ってもらうしか食べていく道がない。自分で工夫して稼ぐなんて現実的ではない」と思い込んでしまったことにあります。

 今、ネット上でさまざまな個人のための情報発信プラットフォーム、さらに個人ビジネスのインフラサービスが登場しています。私は、こういったものが登場してきたことの最大の意義は、「自分で何かを始めて、ちょこっと稼ぐことが可能だ」ということを、日本人にも思い出させてくれたことだと考えています。規制が少なく、アマゾンやグーグルなどグローバル企業が提供してくれるインフラを使えるネット上では、リアルの世界と異なり、「日本だけ特殊な規制があり、できないことが多い」という国際格差がありません。

 それらのグローバルインフラを使い、ネット上で「自分で稼ぐ」ことを始めた個人の中からは、少しずつ、リアルの社会でも「自分で稼ぐ」ことが可能だと考え始める人がでてくるでしょう。

 就活が上手くいかなかったり、業績不振でリストラされる人が増えている今、「雇ってもらえなければ人生終わり」というコンセプトが少しでも崩れることはとても喜ばしいことです。定年まで一生、雇用が確保され、特段の成果をあげなくても毎年給与が上がっていくという世界は、雇われている人にとってもすでに幻想となりつつあります。全員にとはいいませんが、「自分で工夫をして何かビジネスを始めてみようかな」「ちょこっと稼ぐくらいなら、私にも可能かも?」と考える人が増えるのはすばらしいことです。

 経済が成長する源泉には、個々人の「こうやったらもうかるかも!?」という純粋な好奇心や稼ぐことへの意欲が必要です。「雇ってもらえさえすれば、毎月給与がもらえて安心」と考える人が多い国の経済が発展するなどありえません。今はネット上の活動に限られているとはいえ、日本人にも「ちょこっとでいいから、組織に頼らず自分で稼ぐ」という感覚を持つ人が増えてくれば、いつの日かその中から、日本発の大きなビジネスも育ってくるだろうと思います。

 そんじゃーね!

著者プロフィール:ちきりん

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兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。

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