また尖閣諸島にやって来る? 10月に人民解放軍窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年08月21日 08時30分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 ロンドンオリンピックの興奮冷めやらぬなか(関連記事)、日本の「国境」がなにやら騒がしくなってきた。

 島根県の竹島では、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が上陸するだけに飽き足らず、直筆の石碑を建てて閣僚を呼んで除幕式をおこなった。

 沖縄県の尖閣諸島では、中国の活動家がテレビクルーまで引きつれて上陸。海上保安庁の巡視船に投石していたにもかかわらず、公務執行妨害には目をつぶってもらって強制送還され、本国ではちょっとしたヒーロー扱いされている。

 こういう騒動が起きると、日本のメディアはバカのひとつ覚えのように「冷静に」とか「これ以上、溝を深めてはいけない」とか呼びかける。

 過去に戦争を煽ったトラウマで、日本人が中国や韓国に対して怒りの声をあげる大衆をなだめるのが、「インテリである我々の役目」と本気で考えているからだ。

 そういうおめでたい人たちは、「情報戦」を仕掛けようという国からすると大変ありがたい。

 平成23年度の『防衛白書』によると、「中国は軍事や戦争に関して、物理的手段のみならず、非物理的手段も重視している」と見られており、「輿(世)論戦」、「心理戦」および「法律戦」という「三戦」を軍の政治工作の項目に加えているほか、「軍事闘争を政治、外交、経済、文化、法律などの分野の闘争と密接に呼応させる」としている。

「竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土です」(出典:外務省のWebサイトより)
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