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» 2012年08月17日 08時00分 UPDATE

ビジネスノベル新世紀:もしドラだけじゃない! “ビジネスノベル”が増えているわけ (1/3)

最近、書店のビジネス書コーナーでは、若い女の子が表紙になった物語形式の本が増えています。その背景には、ビジネス書側、小説側、それぞれの事情が関係しているようです。

[渡辺聡,Business Media 誠]

渡辺聡(わたなべ・さとし)

神戸大学法学部(行政学・法社会学専攻)卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。独立後、個人事務所設立を経て、2008年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。現同社代表取締役。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなどのコンサルティングサービスを提供している。主な著書・監修に『マーケティング2.0』『アルファブロガー』(ともに翔泳社)など。


ah_biz1.jpg 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』

 1年ほど前でしょうか。Twitterで「最近の女子高生、女子大生は社長になったり、会社を立て直したり、粉飾を発見したり、大変だのう」という趣旨のつぶやきをしたところ、周囲で軽く笑いが起きたという出来事がありました。

 何のことかというと、書店店頭のビジネス書コーナーの話です。「何か女子高生のイラストが最近目に付くようになったなあ」と思ったことからの素直なつぶやきでした。それがウケたということは、似たような印象を周囲の人たちも感じていたということなのでしょう。

 2010年くらいからじわじわと、ストーリーエンタテインメント仕立てのビジネス書が出てくるようになりました。今では経営から会計、マーケティングまで、一通りの分野が揃い、ちょっとしたジャンルになるまで成長してきています。

 きっかけとなったのはもちろん、「もしドラ」こと『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(2009年)です。同作品の270万部超という大ヒット以降、ビジネス書コーナーでは若い女性のイラストを表紙にした本が並んでいるのが珍しい風景ではなくなりました。「はいはい、もしドラの二番煎じね」とつい思ってしまいそうになりますが、状況を読み解いてみると、そう単純な構図でもないようです。

ah_biz2.jpgah_biz3.jpgah_biz4.jpg 『もし、かけだしカウンセラーが経営コンサルタントになったら』(左、2010年)、『金欠の高校生がバフェットから「お金持ちになる方法」を学んだら』(中央、2010年)、『もしOne Pieceファンの女子大生が起業したら』(右、2010年)

 結論から書くと、ビジネスノベル、あるいはビジネスライトノベルと呼ばれるような新しい売れ筋ジャンルが花開きかけているということです。

 ここでの売れ筋、という言葉には2つの意味があります。1つは部数の伸び悩みが目立つようになったビジネス書のテコ入れとしての側面、もう1つは小説側でも積極的にビジネスにまつわるテーマを取り上げるケースが増えてきているという側面です。理屈やロジックを並べるビジネス書の世界と、物語をつづる小説の世界の中間的な領域を積極的に開拓していこうとする作品が続々出てきているのが今、起きている事態ととらえられます。

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