コラム
» 2012年08月14日 08時00分 UPDATE

オリンピックの感動を単なる消費にしないために (1/2)

五輪の選手たちから感動・勇気をもらった私たちは、今日から何にそのエネルギーを生かすか? それをうまく生かしてこそ、選手たちへの本当の「ありがとう返し」になるのではないか。

[村山昇,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行う。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。


 この2週間、居間のテレビからはいつもオリンピック中継の熱い映像と音声が流れていたのだが、それも終わり、お盆休みの静けさを取り戻した庭先では、いつの間にか、セミが生命力いっぱいに鳴いている。

 3.11以降最初のオリンピックとあって、試合後の街の声は「感動をありがとう」「勇気をもらえた」というものが多かった。

 さて、選手たちは頑張った。4年間の辛く厳しい準備過程を経て、晴れの舞台で精一杯表現した。では、そこから感動・勇気をもらった私たちは、今日から何にそのエネルギーを生かすか? それを自分の生活・人生・仕事にうまく生かしてこそ、選手たちへのほんとうの「ありがとう返し」になるのではないか。

 興奮や高揚による感動は、ある意味、火のようなものである。ぼっと燃えあがって、すぅっと消えていく。

 誰しも感動した時は「俺も頑張ろう!」と思う。しかし、それはいわば“火の心”であって、長く保持することは難しい。

 生活・人生にはそうした一時(いっとき)の刺激も大事だが、それ以上に大事なのは、そのとき決めたことを持続していく習慣である。習慣は“水の心”によってなされる。絶え間なくとうとうと流れる川の水のように、昨日も今日も、昨年も今年も、そして5年後も同じように流れてこそ、川は澄み、自分の形となり、海を豊かにしていく。

 「人格は繰り返す行動の総計である。それゆえに優秀さは、単発的な行動にあらず、習慣である」──スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』

 「同じ情熱、同じ気力、同じモチベーションで持続することができる人が、一番才能がある人じゃないかと思っているのです。奨励会の若い人たちを見ていると、手が見えると言うのですが、一つの場面でパッと発想が閃く人がたくさんいるのです。しかし、だからといって、そういう人たちが全員プロになれるかというと、意外にそうでもないのです。逆に、そういう一瞬の閃きとかきらめきのある人よりも、見た目にはゆっくりしていて、シャープさはさほど感じられないが、でも確実にステップを上げていく人、ずっと同じスタンスで将棋に取り組むことができる人のほうが結果として上に来ている」――羽生善治・今北純一著『定跡からビジョンへ』

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