コラム
» 2012年08月07日 08時00分 UPDATE

こうすれば売れる! ノンアルコールビール (1/2)

ノンアルコールビールが売れている。ロング缶はもとより、ついには黒ビールタイプも登場した。しかし、ポジショニングの軸を変えると、もっと大化けする可能性があるのではないか。

[竹林篤実,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:竹林篤実(たけばやし・あつみ)

東大寺学園高校卒業、京都大学文学部卒業。印刷会社営業職、デザイン事務所ディレクター、広告代理店プランナーなどを経て、2004年にコミュニケーション研究所の代表。ブログ:「だから問題はコミュニケーションにあるんだよ


 7月末をもって、サントリーが発泡酒の販売を終了した。その理由は、発泡酒ポジションのあいまい化にある。もともと、ビールより「安い」ことをメリットに登場した発泡酒である。より低価格で、そこそこ飲める第三のビールが登場した時点で、こうなることは見えていた。

 「ビール大好き」とはいえ「ビールというからには麦芽100%じゃないとダメです」派だった筆者でも、サッポロ『麦とホップ』などは十分に飲める。最近出た『麦とホップ黒』などは、下手なビールを飲むよりずっといい。安さを求めるなら、第三のビールである。

 とはいえビール類全体の出荷量は、前年対比3.7%減。7年連続で過去最低となり、ビールが全体の半数を割り込んでいる(東京新聞TOKYOWebより)。ビールの長期低落傾向は変えようがないようだ。

前年度比24%増

 ビール類の市場が縮み続けているのに対して、爆発的に売れているのがノンアルコールビールだ。2011年度が前年度比24%増で、今年度も1割程度は市場が広がりそうだという(日本経済新聞2012年4月12日付朝刊)。

 ビールにはかなりうるさい筆者も、ときどき飲んでいる。ビール好きがなぜ、ビールもどきとも言える飲み物を口にするのか。理由は極めて単純で、「毎日毎日、酒飲んでちゃまずいよなあ」と反省したからだ。「だったら、ビールもどきなどでごまかさず、お茶でも飲んでいればいいではないか」とツッコむなかれ。

 確かにその通りなのだが、それではさびしい。食事が楽しくない。晩ご飯ぐらい、飲み物と一緒に時間をかけて楽しみたいではないか。そこでノンアルコールビールの出番となる。幸いなことに、ビールメーカー各社が、それぞれ競うように新商品を出している。ノンアルコールビールも選べる時代である。

ノンアルコールビールのポジショニング

 たまたま日経新聞『新製品バトル』のコーナー(前掲紙)に、アサヒ・キリン・サッポロ3ブランドの比較表があった。これをベースに整理すれば、各ブランドのポジショニングは、下図のようになるだろう。

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 興味深いのは、一番後発の『アサヒ・ドライゼロ』のポジションだ。先行各社が、ノンアルコールとはいえ原料には麦汁を使い、少しでもビールらしさを出そうとしているのに対して、ドライゼロは最初から麦汁を一切使わない戦略をとった。

 そして筆者が最もよく飲むのは、実はこのドライゼロである。アサヒの製品開発担当者が、どんなコンセプトでこの製品作りに取り組んだのかは分からない。けれども原料をあえてビール系以外に求めた割り切りが、逆に一番「飲める」ノンアルコールビールを生んだように思う。

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