コラム
» 2012年08月06日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:政治は団塊の世代を敵に回す覚悟を持っているか? (1/2)

消費税増税問題で揺れる日本の政治。だが、問題を根本的に解決するためには、増税だけでなく、社会保障にも切り込まなければならない。それは、団塊の世代を敵に回すということも意味している。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 我々有権者にとって、日本の政治ほど見ていて歯がゆいものはない。消費税増税にしてもやっと動き出したかと思ったら、採決時期を巡って大もめだ。ようやく野田首相と輿石幹事長が会談して、早期採決を求める自民党の要求にも柔軟に対応するということになった。

 輿石幹事長は、党を取りまとめ、他の政党と交渉する立場にありながら、調整機能をほとんど果たしていないようにみえる(実際、民主党は分裂した)。まとめられないから、できることは「先延ばし」だけ。展望もないままに先延ばしすれば、ますます窮地に追い込まれる。

 自民党も公明党も3党合意をしたばかりに身動きが取れない。とりわけ自民党は「早期解散に追い込む」と言っても、自分たちが合意した法案をまさか廃案にするわけにもいかず、かといって野田首相に解散を迫る材料もない。去年の菅総理の時のように赤字国債発行法案を人質にして辞任を取り付ける可能性もあるだろうが、こうしたやり方をとり続けるということは、自分たちが政権を取っても参議院で過半数を制しない限り、同じ武器を使われることになる。

 本来の問題は、今のままでは財政が破たんし、国民生活に重大な影響を及ぼす可能性があるということだ。国債の累積額は今年度末で1000兆円を超える見込みである。GDP(国内総生産)の2倍以上というこの数字は、もちろん先進国中最悪だ。あのギリシャやイタリア、スペインよりも悪い。

 財政再建のために消費税率の引き上げをやらなければならないというのが「正しい言い方」である。増税分はすべて社会保障に使うというのが大嘘だと前にも書いた。国債の発行額(今年は粉飾して44兆円に「抑えた」)が増税分だけ減るから、いくらかは公共事業に回そうということになる。自民党は次の選挙での公約に盛り込むのだという。その金額も10年で200兆円だというからバカにならない。

 消費税増税分は国税では5%でだいたい10兆円にすぎないから、現在の公共事業を差し引いてもまだ足りない。1990年にバブルが弾けて以来、公共事業で何とか景気を下支えしようとしたが、大きな効果を生み出さないままに大盤振る舞いした結果が現在の累積赤字だ。それなのにまた同じ愚を繰り返そうとしているとしか思えない。

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