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» 2012年08月06日 08時00分 UPDATE

ちきりんの“社会派”で行こう!:バブルで高騰した“恋愛のレート”は下がる? 婚活の行方を考える (1/3)

堀井憲一郎氏の『若者殺しの時代』では、「1980年代に女の子が恋愛のレートを上げて、結果としてみんな不幸になった」と書かれています。それを読んだちきりんさんは、「今の婚活はその揺り戻しかもしれない」と推測しました。

[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2010年8月22日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


ah_tiki1.jpg 『若者殺しの時代』

 先日、堀井憲一郎氏の『若者殺しの時代』を読みました。独自調査の結果をもとに、1980年代から1990年代がどういう時代であったか、その時代に“若者”がどう扱われてきたかを分析したものです。この本にはユニークな洞察が満載なのですが、中でも特に面白かったのが次の話です。

 「1980年代に女の子が恋愛のレートを上げて、結果としてみんな不幸になった」

 堀井氏は「1980年代に女の子はお姫様になった」と指摘。お姫様は「王子様が現れて、自分のために完璧なクリスマスイブを用意してくれる」と期待します。高級フレンチに高級ワイン、食後は五つ星ホテルのバーで生バンドの演奏を楽しみ、当然のように予約してある部屋にお泊まり、翌朝はルームサービス。プレゼントはティファニーの……。

 最初は「それでよろしくできるなら」とこの流れについていこうとした男性陣も、数年ほど頑張った後、1990年代半ばにはついてこられなくなります。当然です。給与が上がらないのに続くわけがありません。

 ここで女性は気が付くべきでした。こんなことをしていたら彼氏なんてできない、結婚なんてできない……と。でもその時、不幸にも彼女たちの前にトレンディドラマが登場します。そしてそれらのドラマが伝えたメッセージは……「中途半端なところで妥協する必要はまったくないのよ!」。

 ドラマの中では、若くして広い(しかも都心でかっこいい)部屋に住むメークアップアーティストと空間デザイナーとCMプランナーの女性が、それぞれに素敵な恋愛を楽しんでいます。彼女たちは、かっこいい仕事も、それによって得られる高い給料も、恋愛も、刺激的な遊びも、何ひとつあきらめていません。すべてを手に入れているのです。

 それをみてお姫様になった女性たちは「妥協する必要はない。私らしさをあきらめる必要はないんだ!」と理解したのです。こうやってトレンディドラマに後押しされた女性たちは、男性がついてこれなくなってもあきらめなくなりました。

 著者はこれを「女性が恋愛のレートを上げた」と呼び、このため「男性はゲームに参加できなくなった」と言います。すばらしい洞察と言葉のセンスですよね。

 というわけで、経済力のない男性は恋愛市場から閉め出されてしまいました。また、「なんでここまで女性に尽くす必要があるのか」と。疑問に感じた男性も勝負から降りました。

 そして現実の女性についていけなくなった男性は、AVや二次元に逃げたと堀井氏は指摘します。堀井氏の分析によると、この頃からAVにめちゃめちゃかわいい子が登場するようになったとのこと。本書にも、「信じられなかった。こんなかわいい子がカメラの前で本番をしているなんて!」と書かれています。

 かくして圧倒的な勝ち組の男女以外は結婚できなくなり、そうでない女性はトレンディドラマの世界に、そうでない男性はバーチャルの世界に逃げ込んだのです。

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