連載
» 2012年07月26日 08時00分 UPDATE

遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論:アップルやグーグルも無視できない!? HTML5はなぜ重要なのか? (1/3)

Webを記述するためのマークアップ言語であるHTML5。今後、多くのプラットフォームで使われるようになると、その戦いの形も変わってくるかもしれない。

[遠藤諭,アスキー総合研究所]
アスキー総研

「遠藤諭の『コンテンツ消費とデジタル』論」とは?

 アスキー総合研究所所長の遠藤諭氏が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。

 本記事は、アスキー総合研究所の所長コラム「0(ゼロ)グラムへようこそ」に2012年7月17日に掲載されたコラムを、加筆修正したものです。遠藤氏の最新コラムはアスキー総合研究所で読むことができます。


ah_endo1.jpg アップルやグーグル、アマゾンやマイクロソフト、Facebookといった企業が、ネットとコンピュータが融合する時代のこれからを占うべく激しく競合している。

 ことの始まりは、1990年代のなかば、PCの画面の中で起こったことだ。フューチャーウェーブ・ソフトウェアという会社が、画期的なアニメーションの作成ソフトとWebプラグインを作り、これをマクロメディアが買収してFlashとなった。それまで、文字と写真がほとんどだったWebの画面に、ゲームのような滑らかさでイラストが動き出したのだ。いわゆる「RIA」(Rich Internet Application)という、Webだけで立派なアプリが作れる世界になってくる。

 やがて、「Flash MX 2004」というバージョンが登場して、アニメーションと一緒に動画までをも扱えるようになる。実のところ、2005年にスタートしたYouTubeのヒットの理由の何割かは、Flashを使ったことにある。Flashでは、映像と文字をレイヤーで重ねることができるので、ニコニコ動画の弾幕のようなこともできる。

 その後、アドビがマクロメディアを買収して、「AIR」(Adobe Integrated Runtime)という仕組みを提唱する。Webブラウザなしでも、Flashで作ったアニメーションやゲームなどが動くというものだ。これは冷静に考えると、とても革命的な意味を持っていたと思う。「マイクロソフトやアップルのOSが提供しているアプリのあり方以外に、OSの垣根を越えたプログラムの世界を作りますよ」ということである。

 世間が「Web 2.0」と言われるようになったムーブメントで大騒ぎをしていたころだと思う。しかし、Webの本当の波は、OSやハードウェアの位置まで押し寄せてきていたのだ(そのころはまだAIRではなく「Apollo」というコードネームで呼ばれていたが)。ネットとコンピュータが融合して、これから世界をどんどん変えていくのは明らかだった。2007年に発売されたアップルのiPhoneも、そうした時代の変化に対するスティーブ・ジョブズ流の答えだったといえる。

 この小さな端末が、その後のコンピューティングの世界を大きく変えたのはご存じの通りだ。いまやスマートフォンは、1年間に世界で4億7000万台も出荷されているし、タブレットだって6500万台も出荷されている(いずれも2011年の数値で、2012年は大幅に伸びることが予想されている)。

 そして、20世紀のメディアの中心的な役割を果たしてきたテレビもが、スマートテレビとして生まれ変わるのではないかと言われている。テレビは、テレビ放送という強力なコンテンツとしての意味もあるし、関係する企業も多いため、スマートフォンと同じようにはいかないという意見もあるようだ。しかし、テレビを含めた「4スクリーン+1クラウド」の時代は、何らかの形でやってくる。

 もちろん、今後もWebは使われ続けるだろうが、一般のユーザーは、同じことをするのにWebよりも使いやすいアプリのほうを好む。渋谷の焼き鳥屋を探すのに、携帯電話ですらWeb検索をしたのに、スマートフォンではアプリが使われる。つまり、固有のOSとアプリの提供環境を持っている会社が、そうした時代にはとても有利な立場に立つということだ。

 今のところ、アップルとグーグルの2社で、スマートデバイスの80%以上のシェアを持っているが、マイクロソフト(Windows PhoneとMetroアプリ)やアマゾン(Kindle Fire)も、この領域に参戦してきている。ソーシャルメディアのFacebookさえ、スマートフォンの開発、そこで重要となるブラウザー技術を持つOperaを買収するという噂が流れている。

 ネットとコンピュータの融合の舞台では、主要なプラットフォーマーが20世紀初頭の列強のように、激しく領土争いを繰り広げようとしているのが今なのだ(冒頭の図)。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ASCII MEDIA WORKS. All rights reserved.

Loading

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -