本稿は専門媒体ではなく、私自身もアナリストではないので詳細は記さないが、手元にある資料によればさまざまな業種が存在する小売業界の中でも、家電量販店大手各社の反動減はすさまじい。
昨年7月、地デジ化の最終期限となったとき、大手各社は前年同期でプラスの売上高を維持していたが、翌8月以降は軒並み同20%超のマイナスを記録。特に昨年11月は同60%超の減少を喫した会社まで大手の中には存在していたのだ。これ以降も大手量販店各社の月次売上高はマイナスが続いている。
一概に比較はできないが、この間、ホームセンターのチェーンやレストランチェーンなどは同プラスを維持。「小売や流通を俯瞰して調査してきたが、家電量販店業界の異様な数値が並び続けた。長年のキャリアの中でもめったにお目にかかれない大きすぎる反動減だった」(外資系証券のベテランアナリスト)という。
話を大手メディアが記した一連の再編劇に戻す。
私が目にした記事やテレビ番組の解説の大半は、一連の出来事を「再編加速」、「合従連衡」や「再編による仕入れコストや販促費の削減」などとどちらかと言えば前向きなトーンで捉えていた。
だが、先ほどベテランのアナリストが「大きすぎた反動減」と触れたような事象が、果たして前向きなものだったのだろうか。私の目には、どうしても否と映るのだ。
昨年夏、そして反動減が一番酷かった晩秋の取材メモを繰ってみた。そこには、先のアナリストのほか、量販店業界に詳しいネタ元たちの生の声が残っていた。
「エコポイント制度を通じ、政府は瀕死のテレビメーカーの延命化をはかった」
「エコポイントや地デジ化というマヤカシでテレビメーカーも量販店もリストラが致命的に遅れた」
「地デジ特需剥落が目に見えていたのに、家電量販店業界は自殺行為とも言える出店攻勢を抑制しなかった」
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